光華女子学園

今月のことば

平成13年4月のことば
自己(じこ)とは何(なん)ぞや。
これ人生(じんせい)の根本的(こんぽんてき)問題(もんだい)なり。
(清沢満之「臘扇記(ろうせんき)」)

時は明治、真宗大谷派の僧侶清沢(きよざわ)満之(まんし)(一八六三 - 一九〇三)を中心に、「精神主義」という新しい信仰運動が始まりました。今からさかのぼること一世紀、一九〇一(明治三四)年のことです。
文明、個人主義、はたまた快楽(かいらく)主義が時代にうずまくなか、満之は、人々のあらゆる苦悩(くのう)は、世の中の諸物(しょぶつ)(他者)を欲望(よくぼう)するために起こると考えました。だから、他者に惑(まど)わされない「自己」と成(な)ること、それが、「人生の根本的問題」だと自覚したのです。
世に、街に溢(あふ)れて、「私」を魅惑(みわく)する物、モノ、mono、もの。「持ちたい」と欲する心、「持てない」と羨(うらや)む心・・・。「欲する『私』とは、一体何者・誰(だれ)?」。知らず知らず自分に問いたくなるのは、“自分らしさ”を見失いそうになっているという“あせり”からなのかも・・・。
春、四月。学園に集(つど)うすべての人たちが、みずみずしい希望を胸にこの正門をくぐる時節(とき)。それぞれの場所で、「自己とは」と問うことから、初めの一歩を標(しる)したいものです。

過去のことば

2023年

10月
8月
7月

2022年

5月
1月

2021年

2020年

11月

2019年

8月

2018年

2017年

11月

2016年

2015年

2014年

2013年

2012年

2011年

11月

2010年

2009年

12月

2008年

2007年

2006年

2005年

2004年

2003年

2002年

2001年

2000年

ページトップへ