宇宙万有の千変万化は、
皆これ一大不可思議の妙用に属す。(清沢満之「絶対他力の大道」)
2002.02.18
古今東西を問わず、いわゆる聖賢(せいけん)たちは、一様に千変万化する宇宙の存在の奥に何があるのかを知ろうとして真理の探求を始めたようである。そして彼らは、一瞬の光芒(こうぼう)の中で、私たちが目にしている現象世界の背後に、新たな存在の次元を垣間見たのではないか。それだけではなく、人為を超えた、自然に在らしめられるその世界と一つに溶け合い、抗(あらが)うことなく漂う術を知ったようである。この時空を超えた永遠の世界を親鸞は<自然法(じねんほう)爾(に)>の世界と表現し、それを体して生きることが、人間として生を享(う)けた私たちの存在の意味であり、また真に創造的な生を生きることにもなる。しかし、そのために私たちは自らの実存をしっかりとその存在世界に根付かせることが必要なのだ。というのも、現在の私たちは、あたかも定めなく漂う根無し草のようなものであり、とうてい存在の神秘(一大不可思議の妙用)を知りえない無明存在であるからだ。(可)