煩悩無数誓願断(ぼんのうむしゅせいがんだん) 「四弘誓願」
2004.11.18
我々一人一人には、無条件に救い取らずにはおかないという、仏の願いが掛けられています。その願いに応えて、我々と共に仏の世界に誘われようとする、理想的人格としての「菩薩」の願いが、「四つの弘い誓願」の名のもとに纏められました。その第二節が「煩悩無数誓願断」です。
いかに心の平静を装うとも、人間である限り、内面には様々な煩悩が頭をもたげます。四苦八苦といわれる煩悩の究極は、生まれたら必ず死ぬという不安であり、食べなければ生きられないという悩みです。この悩みがある限り、人間は聖者にはなれず、凡夫としての一生を過ごすしかありません。
しかしそんな人間にさえ、菩薩の願いは「煩悩を断じさせずにはおかない」という誓願となって、我々一人一人に掛けられています。ある時ふと、「こんなことでよいのだろうか?」と我々が自省の念を持つのは、まさに菩薩の誓願の故なのです。(太)