小さきは 小さきままに 花
咲きぬ 野辺の小草の 安けきを 見よ(高田 保馬)
2008.01.18
明けましておめでとうございます。新しい年を迎えました。寒い日が続いていますが、来るべき季節へ、確実に自然の営みが行われています。去年、健気(けなげ)に咲いた野辺の小草の地に新しい芽吹きが見られ、小草は小草の「いのち」を受け継ぎ、次ぎへ伝えています。時が来れば小草はその「いのち」のままの花を咲かせ、
精一杯生き、枯れていきます。自然の相(すがた)です。
仏教では「自然」を「じねん」と訓じ、「自ら(みずから)然る(しかる)」(人間の作意のないそのままのあり方)という意味に解しています。人間は、自然環境(すがた)を自分たちの都合のよいように改造できると考え、それを
実行してきました。その結果、心身ともに安らぐことの出来ない多くの問題を惹起(じゃっき)することになりました。
人間は自然を超えた存在でなく自然の一部であることに今一度思いをいたすべきでしょう。自然のままに
咲く野辺の小草に「安けき」生き方を学びたいものです。(宗)
※仏教に「自然法(じねんほう)爾(に)」ということばがあります。「法爾」は、法(真理)が「そのまま」に顕現していることを意味し、「自然」と「法爾」は同義語とされています。人間の作意のない、真理のままに生きることをいいます。