光華女子学園
理事長 阿部 恵木
光華女子学園は、東本願寺の大谷智子裏方(昭和天皇妃―香淳皇后―の妹君)が「仏教精神、特に親鸞聖人が明らかにされた浄土真宗の教えに基づく女子教育を京都の地で」と発願され設立された学園です。創設者の願いを校名「光華」と校訓「真実心」に込め1940年の光華高等女学校開校以来80余年、多くの先人たちのご努力と有縁の皆さまの多大なるご支援により、幼稚園から小学校、中学校、高等学校、短期大学、大学、大学院までを有する総合学園として発展してまいりました。創設者の思いをしっかりと引き継ぎ、思いやりの心を持つ有意なる人材を育成することが私たちの使命であると考えております。
さて近年、私たちの生活の質を向上させるためには物質的な豊かさを測るGDP(Gross Domestic Product 国内総生産)だけではなく、「幸福度」や「生活満足度」といった実感できる豊かさを測定するGDW(Gross Domestic Well-being 国内総充実)を意識する機運が高まっています。Well-Beingとは「肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、全てが満たされた状態にあること」を意味する言葉ですが、建学の精神のもと、校訓「真実心」、即ち慈悲の心、思いやりの心を育み、「和」を大切にする本学園の教育は、このWell-Beingにつながるものであります。
本学園が現在進めております「健康・未来創造キャンパス」構想も、女性が輝く社会実現と、人々の「健康」そして優しく温かい「未来社会」の創造を人材育成と社会実装の面から取り組む構想であり、全ての人々が健やかに暮らせるWell-Beingな未来の実現を目指したものです。
この構想の具体化に向け2024年度から大学では、地域医療において人材不足が課題となっている作業療法士養成をはじめるとともに、ケアに携わる専門職養成の看護福祉リハビリテーション学部と予防や健康創りに携わる人材養成の健康科学部の2学部体制で、健康を多角的に捉え、専門性を高められる体制がスタートします。さらに短期大学部では、訪問診療や病棟での口腔ケアニーズの高まりを受け、京都府の高等教育機関で初となる歯科衛生士を養成する学科を開設します。こうした学部学科体制のもと、光華もの忘れ・フレイルクリニック、光華こども食堂、機能性食品開発(基幹研究)などの社会実装を積極的に取り組むことで多職種連携を実質化し、より実践的でこれからの社会に必要とされる人材育成に取り組んでまいります。
大学だけでなく幼稚園、小学校、中学校、高等学校におきましても、これまで取り組んできた、多様性や人と人とのつながりを大切にし、SDGsの精神を担う人材育成をさらに充実させるべく、宗教教育、伝統文化教育、英語教育に一層力をいれるとともに、地域や企業、行政と連携した探究学習にも積極的に取り組んでまいります。その際に必要となるAIやデータサイエンス、ICT活用能力に関しても学習する機会を増やし、文理統合した総合型人材の育成に取り組んでまいります。
このように、本学園は創設者の建学の精神を大切にし、在校生をはじめ、同窓生や地域の皆さまにとって、そして私たち教職員にとって「ワクワク感漲る学園」となるよう、全力で取り組んでまいります。引き続き、皆さま方のご支援、ご協力を重ねてお願い申し上げます。