正命(しょうみょう)「八正道」
2006.02.18
八正道でいう「命」とはサンスクリット語の「アージーヴァ」の訳語であり、「ジーヴァ」には「寿命」とか「生命力」という意味があります。すなわち「正命」とは、与えられた命に正しく立ち向かうことであり、それはまた正しい生活態度のことを指すのです。
生活の基本は衣・食・住ですから、それを正しくすることが正命であるということになります。では正しい衣・食・住とは、どのような生活態度を指すのでしょうか。それは、仏陀の示された「諸行無常」「諸法無我」という縁起の理法に叶った生活をすることにほかなりません。諸法は滅壊(必ず滅びる)の法であることを身に刻んで、与えられた衣食住を無駄にすることなく、かといってそれらの事物に執着することもなく、賜った自らの寿命を精一杯この世で生かし切ることが、正命の本旨と言えるでしょう。(太)