にんげんがさき 点数は後
2011.07.19
今月のことばは、詩人でもあり、書家でもあります相田みつをさんの詩「点数」の一節にあることばを紹介させていただきます。
相田みつをさんの詩は、どれも心が安らいだり、元気や勇気をいただけるものばかりで、人は生かされている目に見えないものの大切さ、すべてのものの命の尊さを語りかけてくださっております。
この詩の全文は「にんげんはねぇ 人から点数をつけられるために この世に生まれてきたのではないんだよにんげんがさき 点数は後」と続きます。
今の世の中の風潮に対し、何か指摘しているような感覚を覚える詩ではないかと思います。善し悪しは別にして、産まれた瞬間から競争社会に立たされ、学校の成績や会社での評価などありとあらゆるものに対し、評価尺度として点数化してしまっているのが現状ではないでしょうか。さらに、その点数を基準として人間性を見ているところがあるのではないでしょうか。相田みつをさんは、この詩を通じて本来の人間の在り方と命の尊さを伝えてくださっているのだと思います。また、私たち一人一人があらためてこれらを考え直す時がきているのではないでしょうか。
宗祖親鸞聖人は教行信証の中に「遠く宿縁を慶べ」というおことばを残されています。「宿縁」とは「因縁」=「縁」のことで変えたくても変えることができないことです。例えば、父と母の縁をいただいて生まれ、生きているわけです。その父母にも、それぞれ父母が存在します。誰ひとり欠けたとしても、今の私は存在しません。また人の死も同じです。このように、すべての物事には、良いこと(ご縁)もあれば悪いこと(ご縁)もあります。しかし、どのようなご縁であっても大切なことであり、現実として受け止めていかなければならないのです。そこで、心の支えになるのが仏の教え(仏法)であり、親鸞聖人が残された様々なご功績をいただくことにあるのではないでしょうか。まさにすべてのご縁を慶べる人生を送りたいものです。(宗)