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女性であるということが何だというのだ

2023.05.09

 初期仏教経典の『サンユッタニカーヤ(相応部)』に収録されている『比丘尼相応』「ソーマー経」のお話です。禅定中の女性出家者であるソーマーに、マーラ(悪魔)が近づき、女性は知恵が少なく、努力しても覚りを得ることはできないと蔑み、修行の邪魔をしようとします。ソーマーは、そのマーラ(悪魔)に対して、「心がよく安定し、知恵が現に起こっているとき、法を正しく観察する者にとって、<女性である>ということが何だというのだ」と反論します。その上で、「私は女性である」あるいは「男性である」と、また何かしらのものを「私である」とこだわっている者に対して、そのように語りかけなさいと言って、マーラ(悪魔)を退けます。このように仏教は、当初から教義として、女性の出家、覚りの獲得を肯定しています。心を落ち着け、知恵をもって、正しくものごとを考察していくことが重要であり、そこで男女の性差は問題にならないのです。

 

 大乗経典になると、私たちの性別も存在しないという教えが示されます。例えば『維摩経』では、男性であることにこだわるシャーリプトラに対し、天女が神変をもちいて、彼を女性に変化させた上で、「あらゆる存在は女でもなく男でもない」と仏陀はお説きになったはずだと諭します。水に写った月のように、あらゆるものは無我であり、固有の性質はないのだということです。そのような大乗思想によれば、男であるから、女であるから、あるいはそれ以外であるからと囚われ、こだわること自体が、私たちの分別だということになります。

 

 一方、男尊女卑の社会・文化の影響を受け、仏教の典籍には、さまざまな女性差別表現、差別思想が存在するというのも事実です。有名なものとしては、女性は、梵天王・帝釈・魔王・転輪聖王・仏陀にはなれないとする「女人五障」の教えや、女性は男性に変身してから成仏すると説く「変成男子」の思想があります。そのような思想から、仏教は男性性を肯定し、女性性を否定する宗教であると批判されることもあります。

 

 仏典に性差別的な表現があることに疑問を感じることもあるでしょう。しかし、そこで、そのような差別的表現をあげつらうことに終始するのではなく、立ち止まって考え、自らの中にもある差別的な分別、無意識のうちに刷り込まれたジェンダーバイアスに気づいていくということが大切なのではないでしょうか。

 

 知らず知らずのうちに今の社会の価値観に影響を受け、それを当たり前と思って、自らの可能性を狭めてしまわないためにも、多様な角度から考察する思考力が必要です。ソーマーのように、心を落ち着け、知恵によって正しくものごとを知り、社会の真実を見つめ歩んでいきたいものです。(宗)

2023年度「学園花まつり」を開催しました

2023.05.02

4月20日(木)、本学園において幼稚園から大学、大学院までの全設置校の各校園が一堂に会する「学園花まつり」を行いました。新型コロナウイルス感染症拡大防止のため2020年度は中止、2021・2022年度は縮小しての開催でしたが、今回は4年ぶりに全在校生が参加し、大々的に開催しました。

 

 

この行事は、仏教をお開きになったお釈迦さまの誕生日を祝う会であり、またお釈迦さまが深く問われた、「人生をいかに生きていくか」、「本当に歩むべき道は何か」について園児・児童・生徒・学生はもとより教職員・保護者を含め、全員が改めて考える機会として、本学園の創立当時から続けている大切な行事です。

 

 

小学生マーチングバンドや中高バトントワリング部によるパレード、小学生が引く白象の行進、中高吹奏楽部・軽音楽部・聖歌隊による讃歌を取り入れ、華々しい雰囲気で法要が行われました。

 

 

 

当日は、南御堂(真宗大谷派難波別院)の公式キャラクターであるブットンくんが登場し、みんなでお釈迦様のお誕生をお祝いしましょう!と呼びかけました。また、学園花まつりの後、光華幼稚園に登場したブットンくんに園児たちは大喜びの様子でした。

 

 

真宗大谷派僧侶でアナウンサーの川村妙慶先生の法話では、我々が立っている地球はとても大きいように思えるが、太陽はより大きくて地球の109倍もある。さらに太陽よりも大きな惑星があり、そんなことを考えると人間がいかに小さく、一人で生きていけない存在なのか気づくことができると話されました。そして、周りの人で、苦手な人や嫌いな人がいるかもしれないが、みんなで手を取り合って生きていきましょうと呼びかけられました。

 

 

学園花まつりの最後には、本学の職員が作詞作曲を担当したオリジナルソング「Well-Beingな未来(あした)へ」が披露されました。この曲は今年3 月に放映された京都光華女子大学/短期大学部のテレビCMにも使用されており、「人とのつながり」や「心のつながり」そして健やかな未来を想う曲となっています。

 

 

当日の様子は、保護者や一般の方へ向けてYouTubeにてライブ配信を行いました。また、各校園の玄関にお釈迦さまの誕生仏をおまつりし、在校生が自由に甘茶を灌仏できるようにして、学園全体でお釈迦さまのご誕生をお祝いいたしました。

 

 

「学園花まつり」を開催します

2023.04.14

4月20日(木)、本学園にて「学園花まつり」を開催いたします。

 

学園花まつりは、仏教をお開きになったお釈迦様の誕生をお祝いする日で、「釈尊降誕会」といいます。お釈迦様の誕生は4月8日ですが、本学園では4月中旬に園児・児童・生徒・学生・教職員が一堂に会してお祝いします。

 

当日の様子はオンライン配信する予定です。是非ご視聴ください。

 

学園花まつり

日 程:4月20日(木)

時 間:11:00~12:00

配信URL:https://youtube.com/live/85AmgYOAt6Q?feature=share

視聴方法:配信時間になりましたら、お手持ちのPC、タブレット、スマートフォンなどで上記の配信用URLへアクセスしてください。なお、無断での録画・転載は固くお断りいたします。

 

※本学宗教行事となりますので、一般の方につきましてはオンライン配信でご視聴ください。

よろこびてほめたてまつるべしとなり  〜慶讃ということ〜

2023.04.13

 真宗本廟(東本願寺)では、50年に一度の法要、宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃法要が勤められている。全国津々浦々、ご門徒の方々がご本山に足を運び、参拝する。

 

 いち参拝者として阿弥陀堂に身を置き、数千人のご門徒と共に合掌すると時代を貫いた本願念仏の教えの不思議を感じる。その時代その時代の人々が大切だと受け止められた教えが受け継がれ、現在のこの私にまで届けられている。静まり返ったお堂の中で、私にとっての慶讃法要とは何か。御誕生や立教開宗を慶び讃えるということはどういうことかということ問われている。

 

 今月の言葉「よろこびてほめたてまつるべしとなり」は、親鸞聖人が『正像末和讃』の中に「慶讃」のもととなる言葉、「慶喜奉讃」という言葉の意味について述べられたものである。池田勇諦先生はご法話の中で「慶讃」について次のように受け取られている。

 

 『慶』は恩徳に、教えに遇わせていただくことができた慶び。『讃』はそれを伝える責任。それが、慶讃という言葉に込められた願いである。

 

 仏の恩を知り、念仏を通して私にかけられた願いに自らうなずいて生きてるのかを確かめさせられ、同時に生まれたことを喜び、今、責任をもって次の世代の人と共にお念仏の教えを伝えることができているのかを改めて考えさせられる。「慶讃」という二文字に込められた願い、そんな本当の願いに気づかずに日々、振り回されている自分ではあるが、この法要を通して立ち止まって聴聞していく「場」を与えられたことはが有難い。(宗)

真宗大谷派(東本願寺)の慶讃法要でブースを出展しています!

2023.04.05

現在、真宗大谷派(東本願寺)では宗祖親鸞聖人の御誕生八百五十年・立教開宗八百年の慶讃法要が行われています。この法要は文字通り、宗祖親鸞聖人の御誕生と浄土真宗の立教開宗を記念する法要で期間中は全国から多くの方が参拝に訪れられています。

 

そして本学園では記念すべきこの法要をさらに盛り上げるべく、東本願寺の境内の一角に「はなやぎキャンパスin東本願寺」と題し、ブースを出展しています。ブース内では、本学園の取組みや宗教教育等を紹介するパネルを常設展示し、ワークショップ等の体験型イベントも随時実施しております。また、ブースに設置している看板は本学園に在籍している園児、児童、生徒、学生、そして教職員が協働の手形アートで制作したもので、「多様な他者と共に生きる未来を創造できる人間となってほしい」という願いを学園が一丸となって表現いたしました。

 

法要期間内に真宗大谷派(東本願寺)にお越しになられた際はぜひお立ち寄りください!
みなさまにお会いできることを楽しみにしています。

 

■宗祖親鸞聖人の御誕生八百五十年・立教開宗八百年 慶讃法要
・場所:東本願寺(真宗本廟)
・法要期間
第1法要 2023年3月25日(土)~4月8日(土)
第2法要 2023年4月15日(土)~4月29日(土)
讃仰期間 2023年4月9日(日)~4月14日(金)

 

※本学園のブースは第1・2法要期間内で出展しています。
※ブース内でのイベントスケジュールはこちらをご確認ください。

 

京都光華女子大学のテレビCMの放映がスタートしました!

2023.03.06

3月1日(水)より京都光華女子大学のテレビコマーシャルの放映を開始しました。

 

医療・福祉分野で京都・滋賀エリアナンバーワンの専門職養成の幅広さを誇る京都光華女子大学では、「Well-Being」を実現するキャンパスを目指しています。
2024年4月には「看護福祉リハビリテーション学部 福祉リハビリテーション学科 作業療法専攻※」「短期大学部 歯科衛生学科(3年制)※」を開設し、京都光華の学びが進化します。今回のテレビコマーシャルではその様子を表現しています。
※<仮称>2024年4月開設予定(設置構想中)

 

また、BGMとして使用している楽曲は、本学職員が作詞・作曲を行ったオリジナルソング「Well-Beingな未来(あした)へ」です。
「人とのつながり」や「心のつながり」そして健やかな未来を想う曲となっており、コーラス部分は学生や教職員も収録に参加して、本学が一丸となって創り上げた1曲です!

 

 

■放送期間
3月1日(水)〜20日(月)

 

■放送エリア・局
近畿エリア(関西テレビ、読売テレビ)
北陸エリア(福井放送、北陸放送)
沖縄エリア(琉球朝日放送)

 

上記エリアにて放映中。ぜひ、ご覧ください!

 

2022年度「学園太子忌」を行いました

2023.02.27

2月22日(水)、本学光風館講堂で学園太子忌を行いました。
学園では、お釈迦様の誕生を祝う「学園花まつり」、宗祖親鸞聖人のご命日に聖人のご遺徳を偲ぶ「学園報恩講」、そして、聖徳太子のご命日に太子のご遺徳を偲ぶとともに、太子が日本にお広めになった仏教の教えを聞思する「学園太子忌」を学園三大行事として営んでいます。
法要では、各校園代表(学生・生徒・児童・園児代表)や教職員が参加し、献灯、献華、勤行に続き、本学真宗文化研究所の太田蕗子講師による法話が行われました。

 

法話では、聖徳太子が定めた「十七条憲法」第一条から「和(わ)」をテーマに、自身のご家族とのエピソードを例に挙げ、自分にとっては必要でないものも相手にとっては大切なものかもしれない、人は自分の世界がすべてだと勘違いしてしまうことがあるが、皆それぞれ感じ方は違うので相手に自分の気持ちを押し付けてはいけない、とお話されました。
また、3月で光華を卒園・卒業される方も、おもいやりの心をもって、お互いを認め合い、共に生きていくという光華での学びを忘れずにこれからも過ごしていただきたい、と結ばれました。



(学園運営部職員K)

2022年度「涅槃会」を行いました

2023.02.27

2月15日(水)、本学園慈光館太子堂にて、釈尊(お釈迦様)入滅の日(=ご命日:2月15日)に、釈尊への報恩の意を表し、み教えを改めて聞思する機会として、涅槃会(ねはんえ)が行われました。

今回は、京都光華中学校1年生と教職員が参列し、真宗宗歌や恩徳讃などの仏教讃歌の斉唱・焼香などを行いました。

 

 

 

 

司会より、本尊の脇に映し出された大涅槃図を観ながら、お釈迦様が出家をされ、お悟りを開かれたことや、沙羅双樹のもとで亡くなられた様子についての説明がありました。

音楽法要、勤行に引き続き、石原康史事務局長(学園宗教部長)による法話が行われました。

 

実家がお寺の石原事務局長は、幼少期に母親から「やすしー!まんまんちゃん(=阿弥陀如来)が見てはるでー!」と声をかけられていました。誰も見ていなくても阿弥陀様は全てお見通しなので、行儀良くしておくようにという教えです。

どんな人にも善心・良心・悪心があります。悪心を持つ私たちが幸せになるには、念仏を称え、仏様の本願に会い、身を任せることが必要です。そうすることにより、自然と感謝がこみあげ、安心の中で毎日を過ごすことができるのだと語りました。

 

 

参加した生徒からは「お話しされた『まんまんちゃん』を『自分』に例えて、日々行動することを大切にしたいと思った。」「善心、良心、悪心についてしっかり考える機会になりました。」といった感想が述べられました。

 

 

 

ちょうどよい

2023.02.20

 今回は初期経典を通して「ちょうどよい」をご紹介します(『ブッダとは誰か』(吹田隆道)152-154頁、『原始仏典III 増支部経典』126-133頁、『仏弟子の告白』137-138頁)。

 ソーナという仏弟子がいました。恵まれた家庭に生まれ、琴をたしなむ青年だったようです。出家した彼は熱心に修行に励みます。熱心すぎるあまり、経行(ゆっくりと歩きながら行う瞑想)のやり過ぎで、足の裏の皮が剥がれ瞑想を行う場が血だらけになり、屠殺場のようだったと言われています。しかし、それほどに努力しても悟りをひらくことができず、彼は悩みます。もともと裕福な家庭の出身であった彼は、修行を続けるよりも、在家に戻って財力で功徳を積むほうがいいのではないかと考えはじめました。ソーナの思いに気づいた釈尊は琴を喩えに語りかけます。

 琴の弦は、張りすぎても緩すぎても、いい音を出すことはできない。張りすぎることもなく緩すぎることもなく、ちょうどよい状態であれば琴は美しい音色を奏でる。この当たり前のことをソーナと確かめた後に釈尊は次のように語ります。

 努力も、行き過ぎれば気持ちの高ぶりをまねき、緩すぎれば倦怠をまねくのです。したがってソーナよ、ちょうどよい努力を保ち、感官のちょうどよいところを知り、そのちょうどよいところで目標を捉えなさい。

 「弾琴の喩え」といわれる教えです。では「ちょうどよさ」はどのようにすれば得られるのでしょうか。

 後世の注釈書は、ここで言われる「感官」(根)は修行を支える5つの能力である信・精進・念・定・慧を意味し、この5つの均衡が欠かせないことを教えていると説明します。信が強すぎれば慧(内省する智)が弱まり、精進(努力)が過ぎれば定(心の集中)が失われます。ソーナは精進が過ぎることで心の集中が失われてしまっていたということでしょう。

 このように信と慧、精進と定が対となって均衡が求められるのに対して、念はすべての面で強力であることが求められます。念とは、昨今流行りのマインドフルネスの原語で、心の動きや身体に対する「注意深さ」や「気づき」を意味します。
 ソーナは、釈尊に出会い生きるべき道を見つけた喜びゆえに熱心に修行に取り組みました。目標は間違っていない。しかし、その思いの強さに飲まれて、自分自身の心の動きや身体への注意深さや気づきが疎かになっていました。気づいたら、足の裏は血だらけで心にも疲れが溜まっていた。そして、一度定めた目標をあきらめそうになっていました。

 あちこちに様々な問題が山積みで忙しい日々が続きます。それぞれの果たすべき役割はたしかに重要なもので、誰もが精一杯、自分のなすべきことに取り組んでいるのではないでしょうか。しかし弾琴の喩えが教えているように、自分自身への気付きを疎かにすると、大切な目標や役割を見失うことになりかねません。「ちょうどよさ」を確かめるために、自分の心の動きや身体への気づきを大切にし、目標を信じる気持ちと自らを振り返る智慧、そして努力と心の集中を保ちたいものです。(宗)

大学新棟新築の起工式が執り行われました

2023.02.06

1月25日(水)、大学の新棟新築の起工式を執り行いました。

 

阿部理事長をはじめ本学園関係者のほか、設計をご担当いただいている株式会社安井建築設計事務所、建築工事をご担当していただいている株式会社淺沼組の皆さまが参列し、建設工事の安全を祈念しました。

 

起工式では読経や焼香、鍬入れの儀が行われた後、阿部恵木理事長の挨拶と株式会社安井建築設計事務所 常務執行役員 大阪事務所副所長の小林 直紀様の挨拶が行われました。

 

阿部理事長による挨拶では、京都光華女子大学が取り組んでいる「健康・未来創造キャンパス」の実現に向けて、2024年4月に新たに「看護福祉リハビリテーション学部 福祉リハビリテーション学科 作業療法専攻※」「短期大学部 歯科衛生学科(3年制)※」が開設予定である。これにより、医療・福祉分野における専門職養成の幅が広がり、京都滋賀エリアにおいてトップレベルとなるため、今回新築する校舎は多職種連携教育をより深め、各専門職としてのスキルを高める基幹となるような校舎にしたいと語りました。
また、交通量の多い葛野大路五条に面する場所に建設するため、キャンパスや地域のランドマークのような存在にしたいと述べました。

 

小林様の挨拶では新棟について、交差点に面する角は丸いガラス張りの吹き抜けがあり、2階には緑のテラス、その他の階にはコモンズがある等、幅広い用途を兼ね備えた校舎であるとご説明されました。そして、これからの施工にあたり、株式会社淺沼組様と共に、学生の皆さまに喜んでいただける建物となるよう、これまでの経験と知識を生かしていきたいとご挨拶いただきました。

 

新校舎は【ワクワク感が漲る、健康・未来創造空間「KOKA Well-Being Tree」】をコンセプトに、Well-Beingを実現する健康・未来創造空間として、人々の暮らしに寄り添う大樹のような存在として、キャンパスと地域、そして社会をつなぎ、学生・教職員・地域の方々などが憩い、集い、チャレンジする拠り所となるような施設を目指します。
※2024年4月設置構想中

 

 

 

  

 

 

 

 

新棟完成イメージ