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2020年度「第11回 KOKAエコアワード」表彰式を行いました

2020.12.24

2020年12月16日(水)、本学園にて「第11回KOKAエコアワード」表彰式を行いました。
「KOKAエコアワード」は本学園創立70周年を記念して、2010年より実施してきた学園行事です。①エコアイデア部門、②作文部門、③標語・短歌(和歌)部門、④ポスター部門、⑤作品部門から構成され、エコに関する作品・アイデアの中から、優れた内容を表彰します。
今回のエコアワードでは、学園のエコ活動を多くの方と共有したいとの思いから本学園の在籍者(幼稚園児から大学生)、教職員、各校園の保護者、卒業生、そして今年度は学園と取引のある企業様からも広く募集しました。
その結果、1,675点もの素晴らしい作品・アイデアがエントリーされ、下記の通り部門ごとに表彰しました。なお、今年度はコロナ禍のため、学園長挨拶、作品に対する好評等は、YouTubeにて入賞作品とともに限定配信を行います。
これからも光華女子学園は、学齢に合わせた環境教育と環境活動を行い、地域環境に貢献していきます。

【エコアイデア 児童・生徒・学生部門】
入選 「みんなで協力!節電!」
:小学校6年1組 磯辺香帆 / 西垣怜 / 中野陽菜 / 清水美沙 / 原野のり子先生
入選 「みんなで協力!コロナ対策!!」
:小学校6年1組 出水理予 / 石倉彩優美 / 長谷川綾 / 古藤雅隆 / 原野のり子先生
入選 「アルコール・石けんのムダづかいを減らそう」
:小学校6年2組 山中和喜 / 永山遼拓 / 溝川智香 / 安田干夏 / 原野のり子先生
入選 「地球温暖化を防げる学校にしよう!」
:小学校6年2組 斉藤萌花 / 池本結衣 / 吉岡和倖 / 薩大翔 / 原野のり子先生

【標語・短歌(和歌) 児童・生徒・学生部門】
金賞 「エコバッグ いつも欠かさず 持ち運び CO2CO2(コツコツ)減らす 意識を持って」
:大学 キャリア形成学科 上羽 和香
銀賞 「マイバッグ 持っていKOKA エコしょうか」
:短大 ライフデザイン学科 大野 瑞穂
銅賞 「考えて!! 『ゴミ』と『資源』は かみひとえ」
:中学校 1年 中野 美舞
銅賞 「ごみ問題 みんなで解決 団体戦 思いやりから 未来をつなぐ」
:大学 こども教育学科 三池 春菜
入選 「確かめた? スマホにさいふ エコバッグ」
:中学校 1年 片木 百葉
入選 「エコバッグ 買い物前に チェックする そのひと手間が 地球を救う」
:中学校 3年 樋口 はるか
入選 「ポチッたよ 何を買ったの 募金だよ 自然を守る 企業のために」
:高校 1年 谷川 由莉
入選 「一枚の 紙の向こうに 樹のいのち」
:高校 2年 大塩 雪乃

【標語・短歌(和歌) 教職員部門】
銀賞 「人口の 星の光に 照らされて いつしかみえぬ 久堅の星」
:大学 キャリア形成学科コモンズ 藤原 佳那
入選 「最新の お洒落はあなたの 生き方だ 地球にやさしい 美人になろう」
:大学 学生サポートセンター 細井 賀代
入選 「風呂敷の 出番が増えた お買い物」
:大学 女性キャリア開発研究センター 職員

【標語・短歌(和歌) 卒業生・保護者・関係先様部門】
銅賞 「古着きて いつも近くに 祖母想う」
:株式会社ワークアカデミー 井本 舞
入選 「古紙回収 祖母が遺した 古雑誌  ふと読み返し 出さずに戻す」
:株式会社ワークアカデミー 研 良平
入選 「エコバック 持った息子が 自慢する」
:株式会社ワークアカデミー 宮藤 英樹

【作文部門】
金賞 「一人暮らしでの変化」
:大学 心理学科 小野 美紀
銀賞 「おにぎり1個が環境を変える」
:高校 1年 村井 美郁
銅賞 「貧困という教育環境問題に向き合う」
:大学 こども教育学科 小山 千莉
入選 「なぜ世界中で森林破壊がされているのか」
:高校 1年 中村 美里
入選 「レジ袋有料化で期待できる未来」
:高校 1年 若井 彩栞
入選 「森林伐採はなぜ起こるのか」
:高校 1年 脇田 侑依
入選 「UberEatsと使い捨て容器」
:大学 キャリア形成学科 市川 美南
入選 「インスタ映えの背景」
:大学 看護学科 橋本 亜侑

【ポスター部門】
金賞 「これ以上溶けないように」
高校 2年 加茂 美紗希

銀賞 「少しのゴミで生き物が命を落とす」
小学校 5年 伊瀬 准奈

銅賞 「新しいものより今あるものを新しく」
高校 2年 鎌田 真凛

入選 「植物を大事にする」
幼稚園 長井 冬結

入選 「メグマレタミズニカンシャシヨウ」
小学校 4年 石浦 千聖

入選 「共存」
高校 2年 北尾 のの香

【作品部門】
金賞 「海」 幼稚園 松尾 怜奈

開くと・・・

銀賞 「うちゅうだいぼうけん!なかをのぞいてみよう!」
幼稚園 藤尾 陽翔

銅賞 「かいぞくせん」
幼稚園 三好 蔵之典

入選 「まちをきれいにしてくれるゴミしゅうしゅうしゃ」
幼稚園 八木 聡真

入選 「ひみつのおはなばたけ」
小学校 1年 平岡 日々希

入選 「おはなしのえ『もりでいちばんつよいのは?』」
小学校 1年 田中 未宇

受賞された皆さん、誠におめでとうございます。

本学教員の専門領域から見た新型コロナウイルスに関するインタビュー記事「アフターコロナを生きる」を公開中!

2020.12.16

「光華女子学園 創立80周年記念スペシャルサイト」内にある新型コロナウイルス対応情報ページ「はなれていても よりそう心」に新たなコンテンツを公開しました。

本コンテンツは「アフターコロナを生きる」と題し、本学教員の専門領域から見た新型コロナウイルスに関するインタビューを記事にしています。

今回は、健康科学部学部長 細川 昌則 教授と真宗文化研究所長 小澤 千晶 准教授へのインタビュー記事を掲載しています。どちらの記事も読み応えのある内容となっていますので、ぜひご覧ください。

新型コロナウイルス対応情報サイト「はなれていても よりそう心」

【アフターコロナを生きる】
・一実験病理学の徒が見たCOVID-19(健康科学部 学部長 細川 昌則 教授)
・アフターコロナ時代を生き抜く仏教の教え(真宗文化研究所長 小澤 千晶 准教授)

その他にも、本ページでは光華女子学園各校園から「医療現場への感謝と応援のメッセージ」の紹介や本学園の新型コロナウイルスにおける対応を紹介するコンテンツなども掲載しています。今後も、各コンテンツは随時更新してまいります。

2020年度「成道会」を行いました

2020.12.11

12月6日(火)、釈尊(お釈迦様)が悟りを開かれた日をご縁に、釈尊のみ教えを改めて聞思する機会として、成道会(じょうどうえ)を行いました。

今回の成道会には、光華小学校1年生と教職員が参列し、真宗宗歌や恩徳讃などの仏教讃歌の斉唱・勤行・焼香などを行いました。



法話では、本学学園宗教部長阿部恵木氏が釈尊のお悟りまでの道のりに触れ、生きとしいけるものが幸せになる方法として、釈尊は悩みや苦しみは自分の心が作り出したものであり、誰もが避けて通れない、思うがままにならないことであり、これを受け止めることができれば、苦悩から開放されることを悟られたとお話されました。
また、「みんないいこ」の歌詞を紹介され、皆さんはお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、先生など、たくさんの人々に願われてここにいるとお話され、「みんないいこ」の歌詞のように、教養を身につけ、深い内面を持ち、協調する社会を創れるように心がけ、小学校での6年間を過ごしてほしいと、呼びかけられました。

≪みんないいこ≫
おはなをかざる みんな いいこ
きれいなことば みんな いいこ
なかよしこよし みんな いいこ

煩悩に 馳せ使われて 走り回って また年新た(浅田正作)

2020.12.07

 12月に入り、今年を振り返ると、いろいろ走ってきたことが頭を巡ります。今年は、新型コロナウイルスの影響を受けて「新しい生活様式」を始め「with コロナ」という時代を生きました。こうした状況下で、病に対する不安や恐怖、又、いのちのはかなさというものを幾度と感じました。しかし、それはコロナに限ったことではなく、病気や事故、自然災害も実は同じであります。
 
 大みそか、年越しの時間が近づくと、それぞれのお寺で除夜の鐘が打ち鳴らされますが、これは「煩悩を一つずつ取り除く」という意味で行われています。108つあるとされる人間の煩悩を突き詰めていくと、三つに分けられ、その煩悩とは、「三毒の煩悩」という形であらわされています。三毒とは、「貪欲(とんよく)・瞋恚(しんに)・愚痴(ぐち)」です。まず「貪欲」とは、むさぼりの心です。物欲や金銭欲や名誉欲などのさまざまの欲望のことです。欲望をいただき、それに執着することです。次の「瞋恚」とは、すぐ腹を立てる心で自分に気に入らないことに対して憎み怒ることです。最後の「愚痴」は、道理に無知になることで、物事を正しく判断できない愚かさのことです。
 
 このように「煩悩」とは、私達の身や心を煩わせ、悩ませる心のはたらきのことです。しかし、それはどこから沸き起こってくるのでしょうか。他からくるのではなく、これらは、自分自身が引き起こしている心の作用なのです。思うようになればどこどこまでも欲望をふくらませ、思うようにならないと、周りの人に怒りをぶちまけて生きている自分の姿はまさに、親鸞聖人が示しされた「煩悩具足の凡夫」であると言えるのです。自分を振り返って、少しでもそんな自分から抜け出していこうとする思い、また自身にふりかかる事実を受け止めながら毎日を過ごすことこそ、本当に自分を大切にする生き方です。
 今年も、苦楽を繰り返し、喜怒哀楽の日々でした。浅田正作さんの言葉にあるように、煩悩に馳せ使われて、走り回った1年だったと今、自分を振り返っています。(宗教部)

第4回KOKA ENGLISH CONTESTを開催しました

2020.11.25

11月15日(日)、第4回KOKA ENGLISH CONTESTを開催しました。
本コンテストは京都新聞、株式会社わかさ生活、株式会社京都銀行、株式会社ECC、リアリーイングリッシュ株式会社、京都府教育委員会、京都市教育委員会にご後援をいただき、学校法人光華女子学園が2017年度から開催しており、今回で4回目を迎えます。
英語を学ぶ子どもたちに、日頃の成果を発表する機会を提供することで、英語での表現力、コミュニケーション力を高めるとともに、英語を学ぶモチベーションの向上に寄与することを目的としています。

予選を突破しこの日の本選に進んだのは幼稚園・保育園児から高校生まで23名。
しっかり前を向いて話す堂々とした様子や発表に詰まってもすぐに立て直す冷静さなど、日頃の学習とこのコンテストに向けて積み重ねてきた練習の成果を披露してくれました。



コンテスト出場者の発表後には、京都光華高等学校の生徒によるプレゼンスピーチも行われ、3名の生徒が授業での取り組みをテーマに発表を行いました。

京都外国語大学教授 ジェフ バーグランド先生を講師にお招きした記念講演では、 「これでグッと上手くなる! ~ジェフの英語表現法~」と題しご講演いただきました。会場も巻き込んだ分かりやすくユーモア溢れるお話に、参加者は笑顔で聞き入っていました。



今回は新型コロナウイルス感染症対策のため、入場人数の制限やマスクの着用・手指消毒を徹底したうえでの開催となりましたが、新たにZoomによるオンライン生配信を行い、多くの方々にご覧いただくことができました。



【表彰結果】
◆暗唱の部A 幼稚園・保育園(年少)~幼稚園・保育園(年長)
金賞 谷川 侑穂 さん(年長)
銀賞 小林 はな さん(年長)
優秀賞 橋目 梨愛 さん(年長)
優秀賞 佐竹 宥耶 さん(年長)
優秀賞 古田 潤 さん(年長)

◆暗唱の部B 小学校(1年生)~小学校(4年生)
金賞 平野 豊朗 さん(小3)
銀賞 龍味 杏寿 さん(小3)
優秀賞 大久保 里咲 さん(小3)
優秀賞 田中 美良 さん(小2)

◆暗唱の部C 小学校(5年生)~中学校(3年生)
金賞 谷川 和霞 さん(小6)
銀賞 上笹貫 空 さん(中2)
優秀賞 山本 芽咲 さん(小6)
優秀賞 榊 るな さん(中3)

◆スピーチの部D 小学校(3年生)~小学校(6年生)
金賞 田中 佐蘭 さん(小4)
銀賞 黒本 梨乃 さん(小4)

◆スピーチの部E 中学校(1年生)~高等学校(3年生)
金賞 石川 香那 さん(中3)
銀賞 中村 玲於奈 さん(中3)
優秀賞 晴佐久 優花 さん(高1)
優秀賞 中山 遥瑛 さん(高1)

◆わかさ生活賞
龍味 恵麻 さん(年中)

◆京都銀行賞
熊﨑 結菜 さん(小2)

◆ECC賞
西垣 怜 さん(小6)

◆リアリーイングリッシュ賞
西村 真凛 さん(高1)

◆団体賞
HOPPAからすま京都ホテル 様 / THE HOPPA ROYAL KIDS 様
KOKA ENGLISH CONTESTに於いて多くの参加者と本選進出者を育て、本大会に貢献された功績を称え表彰いたしました

2020年度「学園報恩講」を行いました

2020.11.17

11月6日(金)、本学園、光風館講堂において学園報恩講を厳修しました。

この取り組みは、宗祖親鸞聖人のご命日をご縁に、聖人の恩徳を感謝するとともに、聖人の御教えを改めて聞思する機会として、毎年行っております。

親鸞聖人によって開顕せられた浄土真宗の教えを建学の精神とする真宗大谷派関係校である本学園において、最も大切にしている宗教行事です。

親鸞聖人のご命日は11月28日ですが、その日は本山東本願寺で勤められている本山報恩講のご満座(最終日)にあたるため、本学園では、阿部恵水初代中学・高等学校校長のご命日である11月7日に繰り上げて執り行っています。今年は、7日が土曜日にあたるため、1日早めて11月6日に行いました。

また、お亡くなりになられた本学園の卒業生や教職員等、有縁の方々への追悼、法要も併せて執り行いました。

新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から学内関係者のみで執り行い、各校園から、園児・児童・生徒・学生、教職員が参列し、園児から大学生までの代表による献灯、献花、焼香が厳かに行われました。

その後、大間実氏(東大谷高等学校教諭、本校非常勤講師)による法話では、「命」そのものは人間、動物、植物共に平等で尊い命だということ、また、私の中にある愚かさを知り、自分をごまかさず、誠実に生きていくことが大切であるとお話しいただきました。



京都大学名誉教授・労働衛生コンサルタント 川村 孝先生より、 本学園の新型コロナウイルス感染症対策の外部評価をしていただきました

2020.11.16

11/16(月)、京都大学名誉教授・労働衛生コンサルタント 川村 孝先生より、本学園の新型コロナウイルス感染症対策について、評価をいただきました。

本学園では、新型コロナウイルス感染症拡大防止策として、2020年1月以降、マスク着用や手指消毒の徹底をはじめ、こまめな換気・3密の回避など、さまざまな対策を行ってきたところではありますが、その対策について、今回、専門家である川村 孝先生より、その安全性や適切性などの書類調査・実地調査を実施していただきました。

当日は、本学園の各施設(幼稚園、小学校、中学校・高等学校、大学・短期大学部・大学院、学生寮)や授業、本学が運営しているNPO法人等の感染症対策をご覧いただき、川村先生からは、「全体として的を外しているような対策は無く、しっかりと対策ができている。また、完全に感染を防ぐ方法はないので、全体として感染リスクを下げることを目標とし、容易に実施できる感染対策を組み合わせて実施する。感染対策がもたらす便益とリスクを比較考量して採否を決定する必要がある」とのコメントをいただきました。また、寒い時期を迎えるうえで、換気の感染症対策に対する有効性についてもご教授いただき、改めて換気の大切さを学ぶことができました。

本学園は引き続き、川村先生よりご指導いただいた内容を踏まえ、学生等や教職員の感染拡大防止策を最大限に講じてまいります。

光華女子学園 富小路まちやキャンパスの開所記念式典を執り行いました

2020.11.06

10月30日(金)、光華女子学園は、京都市の中心部である富小路御池に、「富小路まちやキャンパス」*を開所することとなり、これを記念し開所式典を執り行いました。
本町家は、本学の大学・大学院から幼稚園までの学生・生徒等が京都の歴史・文化・産業等を体験的に学ぶことができる教育の場として活用するとともに、地域連携型の教育推進事業によって、地域企業・団体、地域住民の皆さまに開放し、ご利用いただける施設として展開していくものです。
*「富小路まちやキャンパス」は、明治時代に建てられ、築年数100年以上の京町家です。

式典には、レジリエント・シティ京都市統括監藤田裕之様、京都市総合企画局総合政策室大学政策部長塩野谷和寛様、松下町会長山口るり子様、他多数の方々にご出席いただきました。

式典は、キャリア形成学科3年生の牧野佑香さんの司会により進められ、光華女子学園理事長ならびに京都光華女子大学・短期大学部学長の挨拶では、光華ビジョン2030に掲げるワクワク感漲る学園づくりのための新たな拠点として、京都らしさのあるキャンパスが設けられたことに対する感謝の言葉が述べられました。
ご来賓のレジリエント・シティ京都市統括監藤田裕之様からは、「毎年800件の京町家がなくなっていく中、学生が学ぶ場として、価値のある使い方をされることに敬意を表したい」とのご祝辞をいただきました。

続いて、京町家の入口屋外で、ご来賓、本学関係者によるテープカットおよびキャンパス名の披露が行われました。



そのあと、京都市在住の落語家桂文也氏による落語「はてなの茶碗」をご公演いただきました。

今後、「富小路まちやキャンパス」は本学園の学生・生徒・児童・園児が京都の息づかいを感じながら、ワクワクした体験ができる学びの拠点を目指してまいります。

最後に、式典にご参加いただきました皆さま、ならびにお祝いを頂戴しました皆さまに、あらためてお礼申し上げます。ありがとうございました。

共創力

2020.11.02

 共創という言葉は、2004年に、ミシガン大学ビジネススクール教授、C.K.プラハラード氏とベンカト・ラマスワミ氏が共著The Future of Competition: Co-Creating Unique Value With Customers(邦訳:『価値共創の未来へ―顧客と企業のCo-Creation』)で提起した概念といわれています。企業がさまざまなステークホルダーと協働して共に新たな価値を創造する概念”Co-Creation”の日本語訳であります。昨今、ビジネスの場でよく用いられ、経営方針に掲げる企業もありますが、「多くの人が協働し、新たな価値を創造すること」はビジネスの場だけでなく、私たちの日常生活にとっても非常に大切なことなのではないでしょうか。

 「多くの人が協働し、新たな価値を創造する」ためには、その根底に「他者との違いを認めること」が必要です。しかし、現代の社会では、様々な情報が行き交い便利になった反面、その多くの情報が錯綜し、他者に排他的になってしまう面、また、多くの情報の中で「自身がその中で何を選び取るべきか、どうあるべきなのか」を迷い、自身の可能性に気づけないままに周囲に合わせてしまう傾向も否めません。真の「共創」は、自分自身の可能性や価値を自覚し、そして他者の可能性や価値も同様に認めた先に存在するものであると思います。

 親鸞聖人が門弟に送られた手紙(御消息)に「とも同朋にもねんごろにこころのおはしましあはばこそ」という一文があります。念仏に生きる者は、他者に信頼と尊敬の念をもって「御同朋、御同行」として敬愛しあって生きていくことができると示されています。この「念仏に生きる者」を、仏教徒に限ることなく、生きとし生けるもの全ては平等という認識に立てる人としてもいいかもしれません。私たちは自我(自分が正しいと思う心)を捨てきれず日々を過ごしています。なによりも、その執着し続ける自分という存在、つまり、どうしようもない自分に気づき、その自分を認めて生きていくことが、生きとし生けるもの全てが平等だと理解する心となり、他者を受け入れ、協働するための心だと、御消息から学ぶことができます。

 現在、世界では多様化・グローバル化が加速しており、我が国においても文化・価値観の異なる方々との「共生」はその重要度が高まっています。また、昨今の新型コロナウイルスの対応をめぐっても、多くの意見が飛び交い混乱を極め、私たちの日常は目まぐるしく変化をしています。このような苦境であるからこそ、他者との違いを受け入れ、認め、共に答えを導くことが大切です。それらの繰り返しによって「共創力」が高まり、新たな価値が生まれ、皆が心豊かに生きることができる社会の実現が叶うのであると信じています。(宗教部)

自分を苦しめず、人を傷つけない言葉のみを語りなさい。 『テーラガーター』1227偈

2020.10.01

 ヴァンギーサ(婆耆舎)というブッダの弟子がいました。彼は吟遊詩人として遍歴の旅の途中でブッダに出会い出家したとされています。経典には、ヴァンギーサがブッダの教えを自分なりにまとめて詠った詩がいくつか残されています。今月取り上げたのは、ブッダが「よい言葉」とはどのようなものかを説いたのを受けて、ヴァンギーサが詩にして詠った箇所です。

 

 1年生の授業で日常の中で違和感を覚えていることをあげてもらうことがありました。課題の意図は、自分が生活の中で感じている違和感をごまかすことなく、それについて調べ考えていくことで、世界を少しよいものに変えていくことができ、そのための基礎力を身につけるのが大学の学びであることを知ってもらうことでした。そうして上がってきた「違和感」の多くは「誹謗中傷」でした。SNSが身近な学生たちにとって、ネットの中で繰り広げられる「誹謗中傷」は、彼女たちを臆病にさせるほどリアルなものなのでしょう。
 コロナ禍の出口が見えない今の状況は、一層不安を掻き立て、人と人との関係を過敏にさせていきそうです。わたしたちは不安ゆえに、互いに傷つけ合うしかないのでしょうか。

 

 ヴァンギーサはブッダの教える「よい言葉」を、言葉を発する自分と受け取る相手の双方の視点から語ります。互いに苦しむことなく、傷つけない言葉を語るには、自分が相手に伝えようとしていることを一度振りかえる必要があります。相手にどう受け取られるか、相手の立場にもならないといけない。つまり、「良い言葉」は、感情のままに発せられるものでもなく、相手を通じて自分の内面を見つめる時間を必要とします。
後に阿羅漢(修行段階の最上位)に到達したヴァンギーサも、出家直後は、女性の姿を見て欲情したり、師匠がいないときに気持ちがフワフワしたり、あるいは、詩人で口が達者だったのでしょう、口数の少ない僧侶をバカにする気持ちが生じたようです。しかし、その都度、自分の感情の揺れ動きに気づき、ブッダの教えた心のあり方を振り返りそれを詩にして自らに語りかけることで乗り越えていきました。
 いま時代は大きく動いています。もう元に戻らないこともあるでしょう。この状況に対応するために、そしてそのための技術に追いつくことに精一杯になってしまう毎日ですが、だからこそわたしたちは共にある人を通して、自分自身の内面を見つめる余裕を持つよう意識しなければならないのでしょう。(宗教部)

中村元『仏弟子の告白』223頁/中村元『ブッダのことば』92頁/片山一良『相応部』2巻、280頁