中道(ちゅうどう)
もっとも古い時代に成立したパーリ語三蔵経典によれば、仏陀が悟りを開きその内容を同行の五人の修行者に初めて説き示したのが、「中道」という説であったと言われています。
それまでの仏陀の生涯は、時に歓楽に溺れ、その反動から身に苦行を強いて解脱を希求するという、極端なものでした。生死を賭した最後の瞑想の中で仏陀に生じたのは、苦行と快楽の二つからは、正しい悟りを得ることはできず、両極単に偏することなく中正の道を歩むことが、真実の智慧に至り着く唯一の道程であるとするものでした。
常・断の二見や有・無の二辺に依る限り、我々は対立や苦悩から離れることはできません。 貪欲(とんよく)(利害の対立)・ 瞋恚(しんに)(自尊心の相剋)・ 愚痴(ぐち)(真実を知らない愚かしさ)に代表される無明の煩悩とは、中道に反するすべて幻想としての対立・差別の構図を指摘したものです。(太)
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