不飲酒(ふおんじゅ)「五戒」
仏教徒の生活規範ともいうべき「五戒」の最後が、「不飲酒戒」です。
暑熱の国インドで成立した仏教は、砂漠の宗教であるユダヤ教やイスラム教と同様、飲酒を禁じます。酒は人の心を狂わせ、飲み続ければたちまちにして中毒症状を呈するからです。ましてや当時、精製技術の未熟な酒類を摂取することで、身体そのものも害する例が頻発していました。 さてそれならば、酒ばかりでなく煙草や麻薬も禁じてしかるべきですが、仏陀の時代、それらはまだこの世に存在しなかったのです。そこで翻(ひるがえ)って「不飲酒」ということを解釈すれば、身体を害し判断を狂わせるような嗜好(しこう)品を摂取すべきではなく、正しい食生活に務めるべきであると読み替えることができるでしょう。(太)