このことばは、曹洞宗の開祖である道元の著書である『正法眼蔵』にあることばで、「どのような場合でも柔和な態度ですべての物事に接しなさい」という意味です。そしてそれは、人の幸せを心から願う利他の心を持つということに他なりません。私たちの日常は人との関係性において成り立っています。私たちの心の動き、喜びや悲しみもその関係性の中で生まれるものです。一緒に頑張ろうという励ましに元気をもらい、心無い一言に傷つき、ありがとうのことばに心があたたかくなります。
お釈迦様の教えの中に、「四無量心」というものがあります。「慈・悲・喜・捨」の4つですが、慈(すべての人の幸せを願う親愛の気持ち)、悲(すべての人の苦しみを取り除きたいと願い、寄り添う心)、喜(他人の喜びを心から喜べること)、捨(人に施した恩も人から受けた害も忘れ、一切の執着を捨て去ること、愛する人にも憎む人にも同一の心を持つこと)を意味します。 そして道元は、四無量心の実践方法として「四摂法」という四つの行を説きました。それは、布施(施すこと)、愛語(愛のある言葉をかけること)、利行(人のために行うこと)、同事(相手と事を同じくし喜びも悲しみも同じように感じること)です。 これらの行いが日常できているでしょうか。
いつも心穏やかであたたかくいたいと願いながらも、心の状態によってはそうできない時もあります。しかし、あたたかいことばや態度は、相手にあたたかい気持ちを届けます。日々、限られた時間の中で、同じようにことばにするのであれば、あたたかいことばを選びあたたかい態度で伝えた方がお互い幸せになることは自明の理です。 心がいらいらしている時は、一呼吸おいて、ことばをかけること、そして自分がそのことばを受け取ったらどう感じるかを考えてみることが大事ではないでしょうか。 ひとりひとりの周りに、あたたかなことばの輪ができればと願います。(宗教部)
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