皆さん「今、幸せですか?」と聞かれたらなんとお答えになられますか。一度、少し立ち止まって考えてみませんか。
南アジアにブータンという仏教国があります。国民の多くが自給自足で生活しており、決して経済的に恵まれているという国ではありませんが、GDP(国内総生産)よりGNH(国民総幸福量)を国家目標に掲げ、「どちらが本当の幸せなのか」を問いかけている国です。このブータンの国勢調査で「今、幸せですか」と質問をしたところ、国民の90%以上の方々が「幸せ」と答えられたそうです。その理由は、「家族に心配事がない」や「飼っている家畜が元気にしている」といったことだそうです。家族を慈しみ、日々の日常の一つひとつの場面に満ち足りた思いがある、言い換えれば、「家族や村々で心からの笑顔が見られたら充分」という思いを持っておられるのではないでしょうか。
日本では戦後、「より便利で、より楽に、豊かで」という「幸福感」のもと、それを追求 することが第一であり、そのためには、大量生産、大量消費、過度な競争であっても仕方が ないといった考え方が中心であったと思います。この考え方は確かに私たちに「便利で、 豊かな社会」を与えてくれましたが、一方、競争に敗れた多くの弱者を生み出す社会、 資源を湯水のごとくに消費し、暮らしも体もメタボになり地球温暖化を引き起こす社会を 作ってしまったことも事実です。欲望を満たしても、満たしても、もっと、もっと、 と次から次に湧き出てしまい、「求めても、求めても得ることのできない苦」の中に生き てしまっている今の私たちは本当に幸せなのでしょうか。百年に一度の大不況といわれる 今、このような「幸福感」を追求することが本当に良かったのか、ということが問われようとしています。
私たちの幸せとは、モノの豊かさや便利さ、ましてやお金の多さ社会的地位で決まるものではありません。心の豊かさ(心の持ちよう)で決まってくるものではないでしょうか。お釈迦様の言葉に「足るを知らざるものは富めりといえども貧し。足るを知るものは貧しといえども富めり」があります。「足るを知る」とは簡単に言いますと「満足することを知る」ということかと思います。「日々のあるがままを受け入れ、おかげさまでと満足できる喜びを知ること、それがあなたの幸せなのですよ」というお釈迦様の教えだと思います。今あるもので満足すればきっと幸せに暮らせるはず。仏教とはそのことに気づかせてくれる教えなのかも知れませんね。
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