インドの僧である龍樹菩薩は、人間の一番美しい姿は合掌をしている姿だとおっしゃっています。インドでは右手は清浄、左手は不浄とされています。そこで右手は仏、左手は自分を表し、右手と左手を合わせることで仏と一体化する自分を表現するのだと言われています。
それでは、合掌の姿はなぜ美しいのでしょうか。
人は心からの「ありがとう」の気持ちとともに手を合わせ、「いただきます」、「ごちそうさま」と自分を生かしてくださるすべてのいのちに手を合わせます。戦争や天災のニュースに一人でもいのちが失われないよう祈り、遠く離れた両親や子供の無事を念じます。考えてみると、人は自分のはからいが及ばないすべてに感謝と祈り、そして敬いや慎みの気持ちを込めて手を合わせるのだと思います。生かされていることへの感謝の気持ちに頭が下がり、ありがたいと思う心が自然に手を合わせるのです。だから合掌の姿は美しいのです。
そして、手は自分にも相手にも与える「力」があります。辛い時に肩を支えてくれるあたたかい手、子供を抱きしめる慈愛に満ちた手、仲間を力強く叩き励ます手、手と手を繋げば相手を愛おしく思えますし、ケガをした箇所を押さえると痛みが和らぐこともあります。手は人の心をもあたためます。
光華幼稚園の園児は、登園の際、また帰りにも親鸞様の像に手を合わせます。光華小学校の児童も同じく仏様に手を合わせます。中高生は分離礼にはじまりすべてに礼節を欠かしません。一日のはじまりと終わりに手を合わせること、この習慣は、自然に学園の子どもたちの感謝の心を育んでいます。私たちの過ごす光華女子学園には、宗教行事や場所、互いの関係の中で、相手を敬い合掌の心を育む機会がたくさんあります。
どうぞ今夜一人静かに過ごす時、そっと手と手を合わせてみてください。不思議と穏やかであたたかな気持ちになります。合掌の姿は美しい。学園の子どもたちすべてが合掌の心を持った美しい人に育ってくださることを願います。(宗教部)
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