やなせたかし
今月のことばは「アンパンマン」の作者やなせたかしさんのことばです。やなせさんは50歳でアンパンマンを描き始めましたが当時は人気がなく、アニメ化しブレイクしたのはやなせさんが70歳になる直前のことでした。継続は力なり、そのことばを身をもって実証された方です。
アンパンマンには個性豊かなキャラクターがたくさん登場しますが、それぞれのキャラクターの背景やその行動に、やなせさんの人間愛が感じられます。大人が見ても十分におもしろい作品で、また時に深く考えさせられるテーマもあります。 さて、やなせさんのことばを引用します。
「人間が一番うれしいことはなんだろう? 長い間、ぼくは考えてきた。そして結局、人が一番うれしいのは、人をよろこばせることだということがわかりました。実に単純なことです。ひとはひとをよろこばせることが一番うれしい。」
家庭でも家族が喜んでくれることに喜びを覚え、職場でも他人の感謝の言葉にやりがいを感じたりするのではないでしょうか。「誰かの役に立っている」その思いが自分の原動力になることは大いにあることだと思います。
生きていくモチベーションは、つまり人の幸せを願いその喜んだ顔を見ることで、自分も幸せだと感じることなのかもしれません。
仏教の教えに忘己利他(もうこりた)の心というものがあります。最澄の『山家学生式』にあることばですが、自分のことを忘れ人の為に尽くし、その幸せを願うという考え方です。そしてこれをもっとシンプルに的確に言い換えたことばが、やなせさんのことばなのだと思います。
「長い人生を生きてきたが、星の命に比べたら、百歳まで生きたって、瞬間に消え去っていくのと変わらない。人間は、宇宙的にいえば、ごく短い間しか生きはしないのだ。束の間の人生なら、なるべく楽しく暮らした方がいい。それでは、人は何が一番楽しいんだろう。何が一番うれしいんだろう。その答えがよろこばせごっこだった。(中略)人は、人がよろこんで笑う声を聞くのが一番うれしい。だから、人がよろこび、笑い声を立ててくれる漫画を長く描いてきた。自分が描いた漫画を読んで子どもたちがよろこんでくれる。その様子を見て、自分がうれしくなる。こうしてよろこばせごっこができることが本当に幸せだ。あなたは何をしてよろこばせごっこをしていますか?」 (宗教部)
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