不妄語(ふもうご)「五戒」
仏教徒の生活規範ともいうべき「五戒」の第四が、「不妄語戒」です。
世界にはさまざまな言語がありますが、言葉を相互交流の手段にするのは、人間だけの特徴です。他者に幸福を伝えるのも言葉を通してならば、逆に他を傷付けるのも言葉です。
あらゆる宗教が人間関係の枢要(すうよう)としての言語の使用について、厳しい制約を設けるのは、本来、一つのいのちから派生したはずの我々であるのに、自他を「わたし」「あなた」という言葉によって区別し、そこに優劣をはじめさまざまな差違を主張するようになるのです。
こうして人間における言語の使用は、仏智・神智ヘの叛逆という結果となって、対立・混乱の世相を助長してきたのです。
五戒では、悪口(汚い言葉)、両舌(二枚舌)、妄語(うそをつくこと)、綺語(おべんちゃら)のすべてを「妄語」取り込んで、これを戒めるのです。(太)
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