光華女子学園

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9月のことば
譬(たと)えば、高原の陸地には蓮華(れんげ)を生ぜず。 卑湿(ひしつ)の汚泥(おでい)にすなわち此の華を生ずるが如し。(『維摩経』「仏道品」)

 この言葉は、あらゆるものが平等であって差別のないという「空」思想に基づいて、在家者を重視し「利他」の立場で仏道修行する大乗菩薩道を説いた『維摩経』にあります。インドでは蓮華は最も美しく、浄土を荘厳する清々しい花、仏の道を歩む菩薩を象徴する花とみなされ尊ばれてきました。その蓮華は誰もが理想とし、望むような高原の陸地には生ぜず、だれもが避けたくなるようなじめじめした汚泥の中にこそ生ずるのだと言っているのです。「高原の陸地」とは、私は煩悩や苦悩を自らの力でという「自利」に生きる人々をさし、「卑湿の汚泥」は、それとは逆に、煩悩や苦しみが尽きず矛盾に満ち満ちた中で生活する凡夫の我々をさしています。

 

 親鸞聖人もその著『教行信証』に引用して「これは、凡夫煩悩の泥の中にありて、菩薩のために開道せられて(菩薩によって往生の道が開き示され)よく仏の正覚(悟り)の花を生ずるにたとふ。」言葉とされています。また、親鸞聖人は阿弥陀仏の極楽浄土のことを「蓮華蔵世界」(『正信偈』)とも表され、この世界に至れば、真実に目覚めることができ、煩悩泥の中にあって苦しむこともなくなり、「真如法性を証する(真実そのものに目覚めること。即ち、仏になる)」(同偈)と説いておられます。

 

 光華「其の光、花の如し」本学の校名です。校名の如く光り輝く華のように生きる人間になってほしいとの願いから名付られました。校訓の「真実心」は御仏の心のことを言い、「慈悲の心」と言い換えることが出来ます。「思いやりの心」「寄り添う心」「他者への配慮」「共に支え合う心」と言うこともできるのではないでしょうか゛蓮華の花に象徴される人のような生き方です。

 

 昭和二六年、千葉県の検見川の縄文遺跡から出土したハスの実は、翌年、植物学者で「ハス(蓮)」の権威であった大賀一郎博士によって発芽育成に成功し、「大賀ハス」(「古代ハス」「縄文ハス」とも)と名付けられて全世界に広がりました。大賀博士がその後提唱された「ハスは平和の象徴なり」の言葉を、今まさにかみしめなければならないのではないでしょうか。因みに、本大学の池にも育成されています。(宗)

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