「至徳(しとく)の風 静かに衆禍(しゅか)の波転ず」
「暑さ、寒さも彼岸まで」といわれる彼岸も過ぎ、吹きそよぐ風も心地よく、過ごしやすい季節になりました。今月の言葉は、「風」を語っていますが、そうした季節の風の働きを言った言葉ではありません。
この言葉は、親鸞聖人の主著『教行信証』(行巻)にある言葉です。親鸞聖人は皆が救われることができる道を求めて幾年も修業を続けられました。そうして二十九歳の建仁元年(1201)、法然上人が信じ説かれていた阿弥陀仏の本願の教えに出遇われ、それまでの自力往生の修業の道から阿弥陀仏の大慈悲の本願に身を任せる他力往生の道へ回心(えしん=心の変化)されました。煩い・悩みから逃れることができず、迷いの生活をしているのが人間である。そうした生き方から救われるには阿弥陀仏の本願に任せるよりほかに道はないとの聖人自らの体験を通した覚(めざめ)があったからと考えられます。
聖人はこの阿弥陀仏の本願を、喜びと確信をもって「難度海を度する大船」「無明の暗を破する恵日」(総序)と表されました。また、「至徳の風」(この上ないすぐれた徳の風)ともたとえられ、「衆禍の波」(人間の煩い、悩みからの迷いの生活)を転じて、静かに救いの世界へと到らせてくれる、と述べられています。
光華女子学園には親鸞聖人の教えに基づく名前がつけられた施設が多くあります。大学の図書館、情報教育センター、小講堂などを擁する「徳風館」もその一つです。今月の言葉「至徳の風」から名付けられました。
今一度、建物の名前を通して学園の「願い」を確認したいものです。(宗教部)
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