曇鸞大師
このたびの大震災に遭われ尊い生命(いのち)を奪われた多くの方々に対して謹んで哀悼の意を表しますとともに、現在もなお苦難の生活を強いられ深い悲しみと不安の中におられます全ての皆様に衷心よりお見舞い申しあげます。私達がどんなに想像しても及ばないほどの状況であり、その悲しみや不安を取り除くことは極めて難しくて時間のかかることだと思います。その中で私達にできることは、それらを出来得る限り共有し様々な形で震災に遭われた方々の心に寄り添うことではないでしょうか。「共に」という存在でいるために何ができるのか、親鸞聖人の「共に悲しみ、共に苦しむ」という教えをもとに改めて考え直さなければなりません。このことばは、曇鸞大師の『浄土論註』にあることばで、親鸞聖人は、『教行信証』の中で引用されて「同一に念仏して別の道なきがゆえに。遠く通ずるに、それ四海の内みな兄弟とするなり」と記しておられます。仏教の教えをいただき、本願を信じ同一に念仏もうすものは、遠く孤独で悲しみの中にあってもこころが通じあって一つになれる。他者とつながりあっていることを実感できる。このことにより自分と関係している世界中のすべてが皆、兄弟姉妹とされ家族とされるのだと解釈できるのではないでしょうか。私達のいのちは他のいのちと互いに深く関わり合い、支え合い、つながり合っているいのちであり、その深いいのちのつながりを自覚することにより決して孤独ではなく、ひとつの共なるいのちを生きていることが顕かになります。このことによってすべてのいのちあるものは、兄弟姉妹だということができるのではないでしょうか。親鸞聖人は、仏の教えを仰ぎ「共に」生き、悲しみ、励まし合う仲間を「御同朋」と私達に呼びかけてくださっています。他者の苦しみを我がこととして受け止めることは、本学が最も大切にする「慈悲のこころ」「利他のこころ」に換言できます。共に手を携えてそのこころをもって接すれば、皆、兄弟姉妹のようになれると思います。人のこころに寄り添い、「共に」という存在でいるために今自分に何ができるのか、このことばをもとに改めて考えたいと思います。(宗)
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