(上所重助)
3月は卒業の季節。卒業は一つの区切りであると共に目標に向かい、新たな気持ちで出発する日でもあります。卒業生は、親をはじめ周りの方々の想いや自分の成長を感じ、 支えて下さった全ての方々への感謝の気持ちをもって卒業されるのではないかと思います。
よくよく考えてみますと、人間は一人で生きていくことはできません。いろいろな周りの人の支え、つまりは「おかげ」によって生かされているのです。
そして、生かされていると必ず成長します。この成長というのも実は独りではできないのです。なぜなら、そこには必ず競うべき他者の存在がいるからです。競うべき存在というのは最終的に自分自身を成長させることに繋がるのです。他者がいるから自分も大きく成長できる。そう思えば、自然に他者に対して「おかげ」であるという心が備わると思います。
今月の言葉は上所重助さんの「おかげさま」という詩の一部です。特に「世間様のおかげの固まりが自分ではないか」というこの呼びかけは、日常、邪見や驕慢な心が湧いてくる私達に鋭い問いを投げかけてくれているようで、改めてその意味を考えさせられます。
この「おかげさま」という言葉は、諸説ありますが、古くから「お陰」とは神仏などの偉大なものの陰で、その庇護(ひご)を受けるという意味で使われていたそうです。私達は、日常生活の中で支え励ましてくれる「陰(かげ)」の部分が見えているのでしょうか。「自分1人の力で成し遂げた。」「自分が頑張ったから・・・」という物事の考え方では「おかげさま」が見えてこないと思います。大切なことは日々の「おかげ」に気づいていくことです。それは目に見えるものだけでなく、私達を支えてくれている万物の恵みに気づいた時に出てくる言葉が「おかげさま」だということです。「おかげの固まり」に気づいて、感じ取って日々暮らしていきたいものです。
最後に、この詩は最後の結びをこのように私達に呼びかけています。
『「俺が」、「俺が」、を捨てて「おかげさまで」、「おかげさまで」と暮らしたい。』と。(宗教部)
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