(親鸞聖人 『教行信証』 総序)
この言葉は、親鸞聖人の主著『教行信証』の「総序」の中にある言葉です。
親鸞聖人は建仁元年(1201年)29歳の時、法然上人と出遇われました。この出遇いは親鸞聖人の求道の人生にとって決定的なことでした。それは、どうしたら皆が救われることができるかを求めて修業を続ける生活から、法然上人が信じ説かれる阿弥陀仏の本願の教えに出合い、救われる道が明らかになったからでした。親鸞聖人はこの出遇いによる求道の変化を「雑行を棄てて本願に帰す。」と記し、自分の力で救われようとする自力往生の修業の道から、阿弥陀仏の大慈悲の本願に身を任せる他力往生への「回心(えしん)=心の変化」を述べておられます。この「回心」には煩い・悩みから逃れることができず、迷いの生活をしているのが人間であるとの親鸞聖人自身の覚(めざめ)があったからと思われますが、この阿弥陀仏の本願の教えを聞くことができた喜びを吐露されたのがこの「今月の言葉」です。
親鸞聖人は、さらに、この「教え」をお釈迦さま以来、法然上人まで伝えてきてくださったインド・中国・日本の高僧方がいてくださったからこそ、この「教え」に遇うことができたとの喜びを述べておられます。
私たちは「師」や「友」、多くの人々と出遇い、多くの教えに出遇ってきました。またこれからも出遇うでしょう。その出遇いが自身の人生にいかなる意味を持つのか、また、自分にとってかけがえのない出遇いとはどんなものか考えてみたいものです。(宗)
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