楽しみあるところに楽しみ 楽しみなきところに楽しむ」(吉川英治)
最近は、梅雨空のすっきりしない天気が続いています。雨の日というのは多数の人にとってはありがたいことではなく、天気を表現するのにも「天気が悪い」であったり「あいにくのお天気」というマイナスのことばを使ったりします。ついつい気持ちまで曇りがちな天候の日に思い出されるのが、時代小説を多く手掛けた、作家の吉川英治さんのこのことばです。
このことばはとても前向きで、気持ちを曇らせていた自分を方向転換させてくれます。天気のことだけでなく、その日起こった出来事について、どんな日でも気持ちの持ちようでいい一日になるのだと、いい一日だと思うのも悪い一日だと思うのも、すべて自分次第なのだと教えてくれるからです。
似たようなことばに雲門禅師の「日々是好日」というものがあります。一瞬一瞬を大切に生きよという意味のことばです。自分自身が生きているのは、今この瞬間です。過去は過ぎ去ったものであり、すがる必要はありません。また未来は何が起こるか分かりません。すべてが期待通りになる訳ではなく未来に起こる不安を心配してもどうしようもありません。過去や未来に囚われず、今この瞬間になすべきことを行うことが必要なのでしょう。しかし、今をよりよく生きる為に過去を内省し、未来への希望を繋ぐため、今を懸命に生きるということは必要だと思います。
今日という一日は、晴れの日であっても雨の日であってもであっても二度と繰り返すことのできない、かけがえのない一日です。空しく過ぎる人生ではなく、生きる意味を見つけるために、一日一日を大切に、今この瞬間を尊びながら、時を過ごしていけたらと思います。(宗)
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