明けましておめでとうございます。新しい年を迎えました。寒い日が続いていますが、来るべき季節へ、確実に自然の営みが行われています。皆様におかれましては、新年を迎えるにあたり色々な思いを持ってお正月をお過ごしになられたことと思います。
お正月には仏教寺院をはじめ本学園においても、新年最初の宗教行事として「修正会」を営みます。「修正会」とは、字の如く宇宙ロケットや人工衛星が軌道修正しながら目的地を目指すように、年の初めに 仏様の前で新しい年を迎えさせていただいた喜びを思い、自分の人生の軌道修正をする大切な宗教行事の一つです。
さて、今月の言葉「ありのままで」についてご紹介させていただきたいと思います。昨年、世間で話題となった映画の一つ、ディズニー映画の「アナと雪の女王」の主題歌「Let it go」で耳にされたのではないでしょうか。
ストーリーは、女王エルサとアナは美しき王家の姉妹。しかし、触ったものを凍らせてしまう秘められた力を持つ姉エルサが、真夏の王国を冬の世界に変化させてしまいます。その後、居場所を失ったエルサは王国を飛び出します。行方不明になったエルサと王国を何とか救おうと妹のアナは姉を探しに旅に出るという内容です。姉エルサは、今まで偽りの自分を生きてきたことに限界を感じ、これからはありのままの自分を生きていきたいという思いから新たな一歩を踏み出す中で、強い信念を感じることができます。同時に周りからの理解が得られず、彼女の苦しむ様子を伺うことができます。
しかし、人は皆この世に生を受け、生きていく上で、容姿・性格・能力・思考など、それぞれ違って当然のことです。
そのことを宗祖親鸞聖人は、身を持ってお示しくださったのではないでしょうか。
当時、仏教(僧侶)では、肉食妻帯(妻子を持ち、肉を食す)は固く禁じられていました。しかし、親鸞聖人はあえて非難を覚悟の上で、公然と肉食妻帯をなされたのではないでしょうか。その理由の一つとして、在家の人は、肉食妻帯しているので、もし、肉食妻帯して救われないとすれば、すべての人は、救われないということになります。当然、仏教界だけでなく、世間中のあらゆる非難を一身に受けられることとなったのですが、自分自身の生き方を貫き通し、「僧侶も在家の人も、男も女も、老いも若きも一切の差別なく、すべての人がありのままで救われるのが本当の仏教」だと気付かれ、そのことを明らかにするために実践されました。
仏教では「自然」を「じねん」と訓じ、「自ら然る」(人間の作意のないそのままのあり方)という意味に解しています。私たち人間は、自然環境(姿)を自分たちの都合のよいように操作できると考え、それを実行してきました。その結果、心身ともに安らぐことの出来ない多くの問題を引き起こすことになりました。
人間は自然を超えた存在でなく、自然の一部であることに今一度思いをいたすべきでしょう。自然のままに生きる、ありのままの生き方を学びたいものです。(宗教部)
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