このことばは、こころの書家・詩人と呼ばれる相田みつをさんの「めぐりあい」の詩の一節にあることばです。相田みつをさんの詩は、どれもいのちの尊さ、大切さをあたたかくて、やさしいことばで私達に語りかけてくれます。このことばの後には「ひとりでもいい こころからそういってくれる人があれば」と続きます。私達が、「あなたにめぐり逢えて ほんとうによかった」とこころから言ってくれる人に一人でも出遇うことができたならば、それは、最高の幸せであり、とても感動的なことです。一人のほんものの人間にめぐり逢うことは大変難しいことです。しかし、ひとたびその人と出遇ったならば、この世に生れて、今ここに生きていることの意義をそこに見出し、このいのちは、生かされている、かけがえのない尊いいのちであることに気付くことができます。そして、その出遇い、そのことばが支えとなり、どのような困難も乗り越えていくことができるのではないでしょうか。つまずいたり、失敗をしても、それが自分を成長させるための出遇いだと受け止め、深く考え直し、学ことができます。その時に人のやさしさ、あたたかさをあらためて知ることになるのだと思います。
人の生涯には、さまざまな出遇いがあります。人は、出遇いとともに成長し、そのすべての出遇いが今の私を成り立たせていると言えます。その中で、たった一人の人との出遇いが、人生そのものを根底から変えることがあります。宗祖親鸞聖人は、二十九歳の時、師法然上人と感動にみちた決定的な出遇いをされました。そして「ただ念仏して 阿弥陀如来にたすけられなさい」という仰せをいただかれたのでありました。この出遇いの感動と感謝のこころを憶念しながら幾多の苦難の道を乗り越えられました。仏教とは出遇いの宗教であります。さまざまな他者と出遇い、それらを通してほんとうの自己に出遇い、その一切を成り立たせている大きなはたらきに出遇うことです。
相田みつをさんは、慈悲の眼差しをもってすべての事象を見つづけられ、一人ひとりとの出遇いを大切にされながら、自分自身の真の姿に出遇われ、そのことにより真実の教えに出遇っていかれたのではないでしょうか。(宗)
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