天神地祗をあがめつつ 卜占祭祀つとめとす 「正像末和讃」 親鸞聖人
意味
悲しいかな、いまの世の僧侶も俗人も、目先の欲望を満たすために日時の善悪吉凶を選び、現世の幸せを与えるとされる天の神、地の神をあがめ、占いや祀りでもって幸福を得、災いを除こうと努めている。
私たち人間は弱さを持っています。その弱さから生まれる「迷い」につけ込んで商売をする人たちが、この世の中にたくさんいます。
皆様も目にしたことがあると思いますが、例えば日本のカレンダーにはよく、先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口という「六曜(六輝)」 が載っています。結婚式は「大安」や「友引」が良いといわれています。事実仏滅の日の結婚式の披露宴は、値段を比較的安く設定しているところも多いようです。逆に葬式は「友引」を避けたほうが良いなどといわれています。実際、以前は私の知っている火葬場は友引の日を休館日にしていました。(その後、多方面からの指導により、友引の日の休館はなくなり毎月1回、日を定めて休館日にしています。)また、友引の日の葬儀執行についても、私ども僧侶がいくら友引の葬儀執行はかまわないと御門徒様に説いても、「理屈はそうかもしれないし理解できるが、もし当家が友引に葬儀を行って誰か亡くなったら他の人に何を言われるかわからない」などと言って友引の葬儀執行には難色を示されます。当然これは科学的には何の根拠もないものです。また「仏滅」という言葉は、これも仏陀や仏教とは何の関係もありません。それなのに浄土真宗を含む少数の宗派を除いたいくつかの宗派が、六曜を載せたカレンダーを系列出版社などから発行していたそうです。それも一部の暦は、わざわざ「これは宗門の教えと関係のない迷信です」という断り書きを載せたうえで売られていたそうです。迷信とわかっているなら何故販売するのでしょうか。
夏になるとよく幽霊などが写っているという、いわゆる「心霊写真」を集めて特集を組んだ番組が放送されますが、何の根拠もないのではないでしょうか。また、皆様がよく耳にする話題の一つに、血液型や誕生日の星座の話があります。この血液型による相性等を証明した学術研究はありませんからこれは一種の占いです。
このような占い、迷信に振り回され、その弱さにつけ込んでくる人たちに仏陀だけでなく多くの宗教者が嘆きの言葉を残しています。その一つが、上記にあげた親鸞聖人の和讃なのです。(宗)
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