これは、「寅さん」こと渥美清さんのことばです。男はつらいよシリーズは全48作品を数える東京下町の人情味あふれる作品ですが、このことばからも主人公の人柄そのままの渥美さんのあたたかい眼差しが伝わってきます。
どんな人にも個性があります。個性は人の目に、時に長所、時に短所として映ります。そして長所、短所と判断する根拠は、これまで生きてきた中で培われた自分の価値観です。この人はこういう人柄だと説明する時に、同じ人を表現しているのに人によってとらえ方が違うことがあります。それは、個人の見方や相手との関係性が異なる為です。価値観は人それぞれです。しかし、日々の生活の中で接する一人ひとりのいいところを見つけることを習慣にしていけば、多くの人のいいところに気づき、いいところをたくさん持った人々に囲まれて生活している自らの環境に感謝の気持ちが持てるのではないでしょうか。
仏教では、一人ひとりが自らの仏性に目覚め、互いに仏性を礼拝し合うことの大切さが説かれています。仏性とは、仏の性質、仏になることができる性質です。常不軽菩薩という方がおられます。この方は、出会う人すべてに敬いの気持ちを持って合掌礼拝をなさいました。信仰がある人でも、そうでない人でも、どんな人であろうと、みんな仏の子として合掌されたのです。そして「あなたは仏になられる方なのだから、自分を大切にしてほしい」と語りかけられました。
日常生活の中で相手を仏と思い敬うことは難しいかもしれません。しかし、相手の異なる個性を尊重し、相手への敬愛の気持ちを持って接すれば、自然と自らの言動も思いやりを持ったものになるのではないでしょうか。そして、相手を敬う気持を持てば、相手のいいところがより多く見えてきます。日々の生活の中で、関わる人々のいいところをたくさん見つけることができれば、見える世界が変わり人生はとても豊かなものになるのではないでしょうか。(宗)
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