須(すべか)らく、自己を省察すべし、
大道を知見すべし。(清沢満之「絶対他力の大道」)
大道を知見すべし。(清沢満之「絶対他力の大道」)
自らを省みず人の道(人道)を説く大人は多い。それについて異議を挟むつもりは毛頭ない。なぜなら、宗教はある意味で人の道など説いていないからだ。そして、人の道を説くだけならばわざわざ宗教を持ち出すこともなかろう。事実、そんなもの知らなくとも人は臆面もなく人の道を説いている。しかし、大道(仏道=人が仏に成る道)は違う。なぜなら、ともども生死輪廻の陥穽(かんせい)(落とし穴)に落ち込むことになるからだ。親鸞もまた、深く自らを省み、仏知見を開いて後、他者に仏の道(大道)を説いたことはよく知られている。このように、宗教においてまず問われるべきは自己自身だということを私たちは心に銘記すべきかもしれない。「仏道をならうというは、自己をならうなり」と言ったのは、同じ鎌倉仏教史を彩った道元であったことも付け加えておこう。
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