今月の言葉は、某お寺の伝導掲示板に書かれていたお言葉です。
私達は、日々過去の出来事を教訓にしながらこれからどのように生きていくか、生きていきたいかを考えて生活しています。同時にたくさんの人々と共に支え合いながら生活しています。当然のことですが、誰しも過去の失敗を繰り返すような生き方を望んでいません。もし、願いが叶うのであれば、万事が上手く、思いどおりにいくことを願っています。しかし、現実は思いどおりにいくどころか、次から次に問題が起り、それらをいかに解決していくかの繰り返しではないでしょうか。
仏教は、気付きの宗教だと言われています。阿弥陀様や神様、自分以外の誰かにお願いして幸せを得ることよりも、過去から現在に至るまでの自分の生活、人間性を見つめ直すことで、今ある幸せに「気付くこと」であり、 その中で宗教を拠り所に自分以外の人の意見や考えを聞き、最終的に自分なりの答えを導き出していくことが重要なのです。つまり、仏教で一番大切なことは、「自分を見つめ直し、自分自身と冷静に向き合うこと」だということです。では、「どうやって自分自身と向き合うのか」が問題となります。 私達は普段、頭や心の中で「あれがほしい」「これは嫌だ」「あの人は好き、嫌い」など、さまざまな感情や欲望(煩悩)に溢れて生活しています。
古代中国の哲学者である老子は「知足」という言葉を残されています。 「足るを知る」ということです。字句どおり、充分に満ち足りていることを知り、不足感を持たないということです。私たち人間は、欲が深く、「足るを知る」ということができない生き物です。充分な金や物、名誉や名声、地位、権力を得ても、さらに欲張って、『より多く、もっと欲しい』と、自分に快楽をもたらすものを限なく追い求めます。まさに、お釈迦様のお説きになられた四苦八苦の中の「求不得苦」です。しかし、人間として生を受けた以上、いたしかたない苦しみの一つです。
今月の言葉「今日の私は これまでの私 今日の私が これからの私」の本意は、過去の出来事もすべて私のこと、未来に待ち構える様々な出来事も私のことと自覚し、現実と向き合う「こころ」が大切であるということなのではないでしょうか。これまでの成功や失敗も含め、一日一日を大切にし、すべて自分のものだと気付ける人生を送っていただきたいと思います。(宗)
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