新年明けましておめでとうございます。 さて、平成29年最初の言葉は「軌道修正」という言葉です。皆さん、「軌道修正」とお聞きになり、どのようなことを想像されますか。辞書などによると「物事の進むべき方向のズレを正すこと、誤った方向に進みつつある状態を本来目指すべき方向へ進むように修正する」と書かれています。
そこで、少し仏教の教えに触れながら考えてみたいと思います。お正月といえば神社などへ初詣に行ったりするのが元旦の日本人の習慣のようにいわれていますが、仏教寺院では元旦の仏事「修正会」が行われます。本学園でも毎年年初めの宗教行事として、「修正会」を厳修しています。これは中国の年始の儀式が日本に伝わったもので、前の年の悪を正して新年の天下泰平などを祈る法会として奈良時代初めから国家規模で各寺院などで行われて広がりました。
浄土真宗の修正会は、初詣のように寺にお参りをして何か願い事を叶えようという所ではありません。実際に家内安全・交通安全・合格祈願をお念仏でお願いしても何も起こりません。でも、その様な目先の願望や様々な出来事にいつも右往左往して私たちは自分の「本当の願い」を見失って生きているように思います。そうして生きていかざる得ない私の目を絶えず覚まさせるようとするはたらきがお念仏「南無阿弥陀仏」となって私たちの所まで伝えられてきたということを浄土真宗は教えています。
ところで、元日の初日の出に合掌するのに二種類の人がいるそうです。一つは願い事をする人です。「今年一年健康でありますように」「良い人に巡りあいますように」など。もう一つは一年の決意を誓う人です。「絶対に希望校に合格するぞ」「仕事頑張るぞ」など。 皆思いは違いますが初日の出を拝むというのは良いことだと思います。一年の計は元旦にありといいますが、寝正月で過ごすよりも、その年一年引き締まった年になりそうな気がします。しかし、皆さんどうでしょうか。元旦の日の出は拝むけれども年の最後夕日を拝みますでしょうか。今年一年、お蔭様で過ごすことができました、その様な気持ちで手を合わせるということです。私たち人間は、夢や希望、願いや決意というのはしばしば語りがちです。それはそれでとても大事なことですが、本当に大事なのは「感謝」の心ではないでしょうか。もっと言えば、一日一日に感謝することが大切です。当たり前だと思うことが実は当たり前でない、生きているのでなく生かされている。偶然の連続ということです。
皆様におかれましては、今年一年、今までの生き方を見つめ直し、夢や希望、願いや決意を持ちつつ、一日一日一瞬一瞬に感謝の気持ちを持って過ごしていただきたいと思います。これらを実践する者こそが正に「光華の心」の実践者だと思います。(宗教部)
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