ほんとうに生きぬく道と二つあるはずだ。」
岡本 太郎 「美しく怒れ」角川書店 2011年
岡本太郎は1911年に人気漫画家岡本一平と歌人岡本かの子の間に産まれ、1929年、18歳でパリに渡りました。パリ大学で民族学や哲学を学び、多くの芸術家や学者と親交を結び、およそ10年を異国の地で過ごしました。ドイツ軍のパリ侵攻をきっかけに帰国し、1942年には召集されて中国へ出征します。終戦後に東京都内にアトリエを構えてからは、大阪万博の展示プロデューサーや「太陽の塔」の制作など、執筆活動やテレビ出演など多岐にわたり活躍しました。
彼が、強い個性を持った両親や、海外渡航がまだ珍しい時代のパリ生活など周囲とは相当に異質な環境を経験してきた事は間違いありません。せまい内輪の世界に閉じこもりようがない環境が、生きるとは何か、自分がほんとうに求めるべきものは何かを常に考え、問い続けるスタイルを培ったのでしょうか。
「自分の目、手だけでふれる、だからこそ危険な道をきり ひらいてゆくべきだ。決して遅くはない。あきらめて、投げて しまってはならない」(87頁)との文章からも、自分の道を 見出し、生きようとするつよい覚悟が感じられます。
学園は夏休み期間に入りました。本学に入学してから自分の世界が拡がったでしょうか。追究したいテーマと出会えそうでしょうか。それらを求めてこの夏休みは、普段はできないことをしてみることを勧めます。例えば読んだ事のない分野の本を読んでみる、初めての美術館を訪ねてみる、外国の街を歩き、風に吹かれ、匂いや聴こえてくる音に耳を澄ますなど、五感を活かして身体全体で何かを感じ、見つけてみようと行動してみてはどうでしょうか。
自分にとってのほんとうを生きたいと願う意志と、一歩を踏み出す少しの勇気が、 あたらしい世界への扉をひらきます。(宗)
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