今月の言葉は、親鸞聖人の開顕された浄土真宗の教えをあらゆる機会・場所で化導された平野修先生(九州大谷短期大学教授、1995年9月示寂)の言葉です。「自力」「他力」は日常よく使いますが、このような言葉になると、深い意味が考えられます。
何かものごとを成し遂げようとするとき、自らの力のみでする場合「自力」で成し遂げるといいます。また、自らの力のみでなく、他の人の力を借りてする場合、この「他人の助力」を「他力」と言います。辞書で「他力」の意味をさらにもとめていくと「転じて、もっぱら他人の力を当てにすること」とあり、「他力本願ではだめだ」という、自分で努力する事を諦めて安易に他人に頼ろうとする人を誡める言葉の原因となる意味にも解釈されています。
仏教では自分に備わった力、能力、また、修行・精進で身についた功徳力によって往生しようとするのが「自力」で、阿弥陀如来の本願、すなわち総てを救おうと働きかけてくださっている願いを「他力」といいます。私たちが往生のために「他力をたのむ」という事は、その本眼力(他力)をよりどころとして生きることなのです。この「自力」「他力」は、何れも「往生浄土」を願う事に他なりません。決して反対の言葉ではないのではないでしょうか。それよりも、「自力」の行、「他力」の信を怠ることが、「往生浄土」への反対語ではないでしょうか。お釈迦様が臨終の時、弟子たちに遺された誡めのことば「つつしんで懈怠することなかれ」を思い出します。(宗)
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