(アントニオ猪木)
今月の言葉は、プロレスラーのアントニオ猪木氏の詩集に掲載されている言葉です。
アントニオ猪木氏は、日本に生まれ、少年時代をブラジルで過ごされていましたが、プロレスでブラジル遠征に来ていた力道山に身体能力を買われ、その後スカウトされ日本に帰国し、多くの名勝負を演じてこられ、日本のプロレス界を常に牽引している人物の一人です。
この詩の全文は、「どんなに 道は険しくとも 笑いながら 歩け!」という詩ですが、何か私たちに元気や希望、勇気を与えてくれる言葉です。
私たちは、日々様々な困難と向き合いながら日常生活を送っています。それは、人間として生を受けた以上、致し方ないことです。しかし、そのすべての困難を現実として受け止めているのでしょうか。また、その物事が険しければ険しいほど現実として素直に受け止められず、できれば避けて通れないかと考えるのではないでしょうか。
仏教に四苦八苦という言葉があります。お釈迦さまが修行の後に世の中は苦に満ちていると悟ったときに残されたお言葉です。生・老・病・死を四苦とし、さらに愛別離苦・怨憎会苦・求不得苦・五蘊盛苦の四つを合わせて八苦と言います。要するに、生まれた瞬間から苦しみがはじまり、老い、病み、死に、人との別れ、会いたくない人と会い、満たされない気持ち、身体と心で受ける苦しみといった苦しみの連続であると説かれました。そして、その苦しみの捉え方を次のように説かれました。この世は移ろいゆくばかりで常なるものは何もない(諸行無常)、自分という存在も移ろいゆく(諸法無我)、すべてのものは苦しみである(一切皆苦)と説かれ、これらの事実を現実のものと自覚することで、煩悩のない悟りの世界、静かで穏やかな境地(涅槃寂静)即ち「極楽浄土」に導かれていくと説かれたのです。
つまり、一つ一つの困難は現実のものであり、自分のものであることに逸早く気付き、今できることを精一杯考え、やり抜くことが大切なのです。そして、その実践により、今月の言葉「歩け!」の詩のように、どんなに険しい道であっても笑いながら歩める人生が送れるのではないでしょうか。(宗)
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