童謡詩人 金子みすゞさんの「みんなを好きに」の詩の一節にあることばです。
金子みすゞさんは、どんな相手にもやさしく寄り添い、相手の立場に立つことができる方、即ち、一切衆生すべての生き物の立場から物事を見ることができる方でした。
また、その慈愛に満ちた眼差しから人の優しさ、あたたかさ、かけがえのない尊いいのちの大切さを教える詩を数多く残してくださいました。
この詩は、「葱、トマト、おさかな」「お医者さん、烏」を例に挙げて、すべてを残らずみんな好きになりたいと詠まれています。
人は、苦手なものや嫌いなものが必ずあります。それらをすべて好きになることはとても難しいことです。叶わぬ願いかもしれません。しかし、金子みすゞさんは、食卓に出された母親の作った料理を目の前にしたとき、ここにいたるまでに、母親をはじめとして多くの人の手によって作られた料理であること、また、もとをたどればすべていのちがあったものであり、そのいのちをいただくことになったとき、「みんなを好きに」と思わずにはいられなかったのでしょう。
すべてのいのちは平等で尊いものであることを強く思うこととともに、そのいのちを奪わなければ生きていくことができない人間の悲しい現実をしっかりと見つめることによってはじめて、他者のおかげにより生をいただいて、生かされてあるいのちであることがわかるのではないでしょうか。
人は、自分のものさしで、いい人、悪い人、好き、嫌い、役に立つ、役に立たないと自分勝手に価値判断をしています。正しくものを見ているつもりでも、本当は、自己中心的にしか見ていません。
金子みすゞさんは、そのことに気付かれて、少しでも人のいいところを見つけて好きになろうと努力されました。
そして、すべてのものが等しく、かけがえのない大切な存在であることが認められる世界、好き、嫌い、役に立つ、役に立たないに関係なくそのままを受け入れられる世界、一人ひとりが輝ける世界、そういう真実の世界に生まれることを願われていたのではないでしょうか。(宗)
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