いま ここに 自分の番を生きている (相田 みつを)
このことばは、詩人であり、書家でもあります相田みつをさんの「自分の番 いのちのバトン」の詩の一節にあることばです。相田みつをさんの詩は、かけがえのない尊いいのちについて、慈愛に満ちたあたたかくてやさしいことばで私達に語りかけてくれます。
私達のいのちは、これまでに父と母で二人、父と母の両親で四人、そのまた両親で八人、十代前で千二十四人、二十代前(五・六百年前)では百万人、そのはるか前から、過去無量のいのちが受けつがれてきたいのちであると詠まれています。
数えきれない連綿と続くいのちのバトンが受けつがれてきたおかげで、今の自分のいのちがあるのです。その中のたったひとりでも欠けていれば今の自分は存在し得なかったのです。このことは、とても不思議なことであり、有り難いことであり、また、奇跡であるともいえます。そして、自分のいのちの尊さを実感できたならば、同時に他者のいのちも自分とまったく同じくかけがえのない尊重すべきいのちであるということに気付くことができます。更には、それらすべてのいのちが、互いに深く関わり合い、支え合い、つながり合っていることがわかります。
最近のニュースや報道を見ていますと、自分のいのち、あるいは他者のいのちを軽視して粗末に扱われているような心が痛む悲しい出来事が多くあります。私達は、あらためてこのいのちの尊さについて、一人ひとりが考え直さなければならないと思います。
私達を支えているものの中には、自然環境があります。これもいのちと言えます。このいのちは、現代に生きるものだけの所有物ではありません。過去から受け継がれてきたものであり、次の世代へ引き継いでいかなければならないものでもあります。環境問題もいのちという観点からあらためて問い直さなければなりません。
私達は、永遠のいのちともいうべき仏教の教えをいただいています。この仏教が教えるところの理念、智慧、方法をもってこれらいのちの問題を解決していくことができるのだと確信します。
相田みつをさんは、真実の教えを通して、あらゆる事象におけるいのちの本質について、慈悲の眼差しをもって見つづけていかれたのではないでしょうか。 (宗)
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