我いま極楽(ごくらく)世界(せかい)の阿弥(あみ)陀仏(だぶつ)の
所(みもと)に生まれんと楽(ねが)う (『観無量寿経』「欣浄縁」)
所(みもと)に生まれんと楽(ねが)う (『観無量寿経』「欣浄縁」)
観無量寿経は、今まさに我が子に殺されようとする母の苦悩を描いた経典です。「私に何の罪があって、このような悪子が生まれたのでしょうか。どうか私のために悩みのない世界を教えてください」と訴えるその母親に対して、釈尊はさまざまな幸せの世界を紹介されます。その中から、母親はあらゆるものがともに生かし生かされる、究極の安楽世界と感じられる阿弥陀仏の世界に生まれたいと、切に念願するようになります。
この母親が選び取った極楽浄土とは、他を責めるのではなく、不確かな人間の判断による善悪の人間評価を離れて、ともに身の事実を引き受けて生きていこうとする人間の世界のことなのです。
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