日本では、お釈迦さまがお亡くなりになった日を二月十五日として、各地の寺院では、お釈迦さまのご遺徳を偲び、教えを聞思する法会(涅槃会)を営んでいます。この涅槃会には、お釈迦さまの最後の様子を表した「釈迦涅槃像」や「釈迦涅槃図」をおまつりします。その像や絵図には、最後の遊行(伝道の旅)を終え、生まれ故郷のヒマラヤの麓の釈迦国への帰途、故郷を目前にしたクシナーラーの沙羅双樹の下に床を設えてもらい、疲れた体を休め、最後の説法をされました。そして、頭をヒマラヤの方角の北に向け、右脇を下にして横たわり、静かに瞑想に入り、そのまま永遠の涅槃に入られました。その時、お釈迦さまの周りには、お弟子の比丘たちをはじめ生きとし生けるものが集まり、悲しみにくれながら見守っている様子が表されています。「涅槃」とは、煩悩を克服して、さとりの智慧を完成した境地を言い、お釈迦さま(覚者)が亡くなったことを表す言葉(「入涅槃」など)としてもつかわれます。
今月の言葉は、お釈迦さまの晩年の遊行、ラージャガハ(王舎城)からお亡くなりになったクシナーラーにいたる道程と、その途中の事跡や説法などを記した『大般涅槃経』にあります。お釈迦さまの死に直面し、嘆き悲しむ比丘たちに「比丘たちよ、今こそおまえたちに告げよう」と呼びかけ、説かれたお釈迦さま最後の言葉とされています。お釈迦さまは、比丘たちに、全てのものは常に変化して、少しの間もとどまっていない。生命(いのち)を受けたものは死に、形あるものは滅びる。私たちも例外ではない。これが無常の世界の真実の相なのだ。だから、こうした無常を生きる私たちは一瞬一瞬が大切であり、怠ることがないように仏道修行につとめなさい。と、説いておられるのです。この言葉は仏道修行をする比丘たちへの言葉だけではなく、無常の命を生きる私たちへの教えでもあるのではないでしょうか。(宗教部)
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