正定(しょうじょう)「八正道」
仏陀が悟りの内容としてお示しになった四つの真理(四聖諦(ししょうたい))のなか、心を集中するための修道方法として挙げられた「八正道(はっしょうどう)」の最後が、「正定」です。
身口意(しんくい)の三業を、正業・正語・正命の徳目として示された一々の戒を身に付けることによって調整すれば、おのずと健全な肉体と精神が得られます。その結果、至り着く正しい精神統一の状態のことを、正定と呼ばれるのです。
仏教の基本的な修道法は、まず戒によって身を修め、それによって物質的欲望を超越した正しい精神統一を獲得して、仏陀の悟りの内容である「無常・苦・無我」の智慧に至り着くというものです。この過程を、「戒・定・慧の三学(さんがく)」といいます。ただ三学は、直線的段階的なプロセスを指すのではなく、三者がつねに相即不離の関係にあると見るべきです。心身の調御と高度の精神統一によって、正しい智慧が身に備わるのです。(太)