12月に入り、今年を振り返ると、いろいろ走ってきたことが頭を巡ります。今年は、新型コロナウイルスの影響を受けて「新しい生活様式」を始め「with コロナ」という時代を生きました。こうした状況下で、病に対する不安や恐怖、又、いのちのはかなさというものを幾度と感じました。しかし、それはコロナに限ったことではなく、病気や事故、自然災害も実は同じであります。
大みそか、年越しの時間が近づくと、それぞれのお寺で除夜の鐘が打ち鳴らされますが、これは「煩悩を一つずつ取り除く」という意味で行われています。108つあるとされる人間の煩悩を突き詰めていくと、三つに分けられ、その煩悩とは、「三毒の煩悩」という形であらわされています。三毒とは、「貪欲(とんよく)・瞋恚(しんに)・愚痴(ぐち)」です。まず「貪欲」とは、むさぼりの心です。物欲や金銭欲や名誉欲などのさまざまの欲望のことです。欲望をいただき、それに執着することです。次の「瞋恚」とは、すぐ腹を立てる心で自分に気に入らないことに対して憎み怒ることです。最後の「愚痴」は、道理に無知になることで、物事を正しく判断できない愚かさのことです。
このように「煩悩」とは、私達の身や心を煩わせ、悩ませる心のはたらきのことです。しかし、それはどこから沸き起こってくるのでしょうか。他からくるのではなく、これらは、自分自身が引き起こしている心の作用なのです。思うようになればどこどこまでも欲望をふくらませ、思うようにならないと、周りの人に怒りをぶちまけて生きている自分の姿はまさに、親鸞聖人が示しされた「煩悩具足の凡夫」であると言えるのです。自分を振り返って、少しでもそんな自分から抜け出していこうとする思い、また自身にふりかかる事実を受け止めながら毎日を過ごすことこそ、本当に自分を大切にする生き方です。
今年も、苦楽を繰り返し、喜怒哀楽の日々でした。浅田正作さんの言葉にあるように、煩悩に馳せ使われて、走り回った1年だったと今、自分を振り返っています。(宗教部)
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