新しい年をお迎えしました。「一年の計は元旦にあり」というように、これから過ごすであろう1年間の目標や計画は、新年のスタートとともに決める人も多いでしょう。家族が集まって一年の目標を言い合ったり、学校が始まれば、学習や生活の目標を書いて掲げたりすると思います。
目標としては、仕事において望んだ地位に就きたい、今よりもっと綺麗になりたい、趣味や語学をもっと上達させたいなど、何かを目標にしてそれに向かうことはさらなる上を目指すという点で素晴らしいことです。ここで留意しなければならないことは、「あの人より偉くなって出世したいから」「あの人よりも輝いて綺麗でいたいから」のように、誰かとの比較が目標のベースになっているのなら、目標を達成するのは難しいかもしれません。
親鸞聖人が大切にされた『仏説無量寿経』という経典の中に「無有代者」という言葉があります。「代わる者有る事無し」と読み、「私という存在は他に代わる者は無い」という意味です。誰にも変わることのできない唯一無二の存在が私であるということです。唯一無二の存在であるので他人と比較する必要がないのですが、「比べるな」と言われても、つい比べてしまうのが我達かもしれません。勝手に競争をしてイライラし、自分の思い通りにならなかった状況にイライラする。自分と他人を比べる必要なんてないのに、比べることで苦しみを抱えてしまうことがあるかもしれません。
今月の言葉、「くらべず、あせらず、あきらめず」は、日常の生活で「くらべて、あせって、あきらめて」いる私の心を立ち止まらせる言葉です。
「如来の摂取不捨(えらばず、きらわず、見すてず)の心を学び、真実、自分自身のしたいこと、しなければならないこと、できることを、他人とくらべず、あせらず、あきらめず、していこう」
「いのち」は、私が私としてのありのままを受けとめて、選ばず、嫌わず、見捨てないという願いを持っています。だから今、この一瞬一瞬自分にできることを精一杯し、自分らしく生きようという呼びかけの言葉ではないかと感じます。私たちは誰のためでもない、自分のために生きるのです。目の前の自分自身のしたいこと、しなければならないこと、できることを素直にしていく姿勢を大切にしたいものです。(宗)
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