助け合って生きていく事が、これからのわたくしたちの使命です。」
気仙沼市立階上中学校 梶原祐太さん 卒業式答辞より
東日本大震災から1年8ケ月が経ちました。震災直後の様子がテレビで何度も放映されていますが、その度に多くの尊い命が亡くなったことを通して被害の甚大さを再確認させられ、何度も胸が痛くなります。
そのような中で、東日本大震災直後の3月22日、気仙沼市の階上(はしかみ)中学校で卒業式が行われました。卒業式といえば華やかな日。例年であれば、教師や友達との別れ、そして母校からの旅立ちの日であるのですが・・・・。子どもの写真を抱えた父親が代理で卒業証書を受け取る姿や、祝辞を述べる声が涙でつまる校長先生の様子が放映されていました。
今月の言葉はそんな悲痛な状況の中、中学校の卒業式で読まれた答辞からの抜粋です。 答辞を読まれた梶原祐太さんの困難な状況を引き受けてそれに耐え、謙虚に力強く生きようとするこの言葉には、同じ境遇に立つ多くの被災者が勇気づけられたことだと思います。
仏教には「如実知見」という言葉があります。それは、事実を事実としてあるがままに、ものの真実の相を正しく見極めるという教えです。私達は嫌なことがあるとどうしても現実から逃げ出したり、何かのせいにしたりしてしまいがちです。何かのせい、誰かのせいにするのではなく、自分を如実に見てこれからを考える。 先の震災は、口では言い表すことのできないつらい、悲しい事実ではありますが、この答辞から、ただ歯をくいしばって我慢するだけでなく、現実をしっかり受け止めて前に進もうと努力していくことが大切だと感じました。どんな困難な状況やたとえ地獄のような現実があっても、事実をしっかり引き受けて立ち上がっていきたいと思っています。(宗)
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