(本田 宗一郎 : 本田技研工業 創業者)
人生には、様々な試練や転機があります。試験や就職、恋愛や結婚等々。私たちはこのような場面で、もちろん誰しもが失敗するよりも成功することを願っています。
しかし私たちは、これらがいつも成功するとは限らないことを、過去の経験から知っています。人生には無駄な経験は何一つないのです。どんな場合でも、その人の捉え方ひとつで後の人生に役立てることができるのです。
「ホンダ」の創業者である本田宗一郎氏は生前次の様に述べられていたそうです。「私の現在が成功というなら、それは過去の私の失敗が全部土台作りをしていたのである。仕事は押しなべて失敗の連続である。99%は失敗の連続であった。そしてその実を結んだ1%が現在の私である」。
また、仏教を開かれたお釈迦様は29才の時に出家され、35歳の時に菩提樹の木の下で悟りを開かれ仏陀(目覚めた人)となられました。これはよく知られている事実です。私たちはこの場合、悟りを開かれた事ばかりに目がいき、お釈迦様の6年間の修行をつい否定的に考えてしまいます。しかしお釈迦様が悟りを開かれたのは、6年間の修行(禅定・苦行)があればこそではなかったのでしょうか。
よく私たちも一日ボーッと過ごしてしまった日の夜に「今日は無駄な時間を過ごしてしまったなー」というような思いを持つことがあります。でも本田宗一郎氏の失敗、お釈迦様の6年間の修行、そして私の一日は本当に無駄なものでしょうか。
人間も含め、動物、植物、建物等形あるものは変化し続け、いずれ滅びていくのが世の常です。
私たちは年をとり、日々死に向かっている事実を少なからず肌で感じ、有限な時間の中での営みをつい「無駄」等と感じてしまうのかもしれません。
しかし本田宗一郎氏やお釈迦様のように一見失敗とか無駄だと思えることでもそのことの積み重ねがあればこそ、それが花開く事もあるのです。しかし必ず花開くとは限りません。いや花開かないときの方が多いかもしれません。私たちの人生は一見すると無駄の連続かもしれません。しかしどんなに無駄と思える時間も、長い目で見れば何かの教訓になっているのではないでしょうか。
何が無駄で何が無駄ではない、これは誰にもわからないことです。たとえば私が無駄だと思って放っておいたことを他の方が行って大成功を収め後で悔やむこともあるかもしれません。
「人生には無駄がない」という言葉は、「忙しい、忙しい」が口癖の様になって、何でも先延ばしにして結局何もしようともしない私たちに「人に勝つより自分に負けないように生きていって下さいよ」と教えていて下さるのではないでしょうか。(宗)
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