「自分は全然悪くない」「すべて相手が悪い」・・・・・。
自分が不利になったり、苦境に立たされたりした時に自分のことを棚に上げて、相手のことを大きな声を出して責めてしまう。また、口には出さないが心の中でそのようなことを思ってしまう。それが私達の日常ではないでしょうか。確かに自分の外側に原因を求め、相手のせいや社会の責任にした方が自分は苦しまず、その瞬間はとても楽になります。しかしそのような考えを繰り返し続けると他人を責めつけるばかりの空しい人生になってしまいかねません。そんな私達の心の在り方を蓮如上人は、
「人の悪きことはよくよく見ゆるなり、我が身の悪きことは覚えざるものなり。」
と教えていただいています。
仕事や家庭での日常生活に照らし合わせてよくよく考えてみますと、私達は他人のよいところは、あまりよく見えません。反対に相手の欠点や短所などは細かなところまでよく見えます。それどころか、むしろ自然と目につくのが人間なのです。私達は常に他人と比べ、他人の短所や不満を口にするけれども、果たして相手を見る眼と同じようにその眼をもって自分を見ることができるのでしょうか。残念ながら私達にはそういう眼は持ち合わせていないと思います。だからこそ、仏に学び、仏から「智慧の眼」をいただかなければならないのでしょう。
「他人の長所は少しでも早くほめよ」とあるように、大切なことは日頃から他人のよいところを発見しようと思う心です。相手をよく見て、その人の長所をほめたり、他人の成功を讃えたりすることが自分自身の喜びとなっていく。ほめられた方も当然、認められ相手の喜びとなっていく。そこに自利利他円満の世界に出遇うことができるのだと思います。(宗教部)
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